3
「身内を科学者に奪われて復讐の為だけに生きる奴らに、身体を改造されて行き場を無くした奴ら」
「……」
胸が傷んだ。そうだ…研究所には、よく子供が送られて来ていた。その子たちは時期が来るまで特別なラボに監禁されて、順番が来たら改造室に運ばれていたっけ…
それを、俺はあの子と会うまでは何気ない風景として見ていた…
それで
表情ひとつ変えない俺をまわりは人形と呼ぶようになっていたな…
(最低だ、俺…)
そして再び、罪の重さに押し潰されそうになった
「んな顔すんな。誰にでも間違いはあんだろ」
「…」
「とにかく、だ」
「?」
「着いてこい」
俺の肩をポンと叩くと、リオはニッと笑う。そして、科学準備室を出ようとドアに手をかけた時だった。
こちらから開けるよりも先に、外側から勢いよく開いた
そこに立っていたのは、血相を変えた金髪…
「例の研究所が爆破された…!」
「はー?」
「な…!!」
今、なんて…?
研究所が、爆破…?
研究所って、俺がいた研究所のこと…か!?
「ったく。あの研究所にはまだキメラがいんだろ」
「くそ…!!一体誰が…!」
(研究所が、爆破…)
リオが少し面倒な顔をしている。金髪はそんなリオに何か話している…ああ…、何故かバクバクと心臓がうるさい
「よし。じゃあとりあえず、俺はメイちゃんとキメラの駆除に向かう」
「くそ…!にしたって状況がわかんねぇんじゃ…!せめてキメラが何体とか、数さえ把握できてりゃ…!」
社内はいつの間にかバタバタとしていた。金髪とリオも動きを詰めている
ああ…もう…全ての音が…、
「…っ、あそこに収容されてるキメラは全部で8体だ」
気付いたら、俺は口を開いていた。
「フウシン?」
リオは少しだけ目を丸くして、俺を見ていた
肩も唇も震えるし、手も汗でべちゃべちゃしている。自分でもよくわからない焦りが、全身を走る
「その内、っ、俺が合成したのは6体…。くっ…全て3体以上合わせたものっ、だ…」
どうしてなのかわからないけど、呼吸が凄く苦しい。
ああ…あのキメラが同時に暴れたら、沢山の命が…
あの子が…
「…フウシン、そいつらは何を合成してるかわかるか?」
リオが俺の両肩に手を置いて「落ち着け」ってさすってくれた。
俺は何度か深呼吸をして、それから言葉を紡いだ
「狼とっ…、トラと…っ、毒蛇…それにワニだ」
「ん」
絞り出した声を聞きおえると、リオは俺の頭をポンとした。
「なんとかしてやるから、安心しろ」
あぁ…もう、なんか、意識が…
とにかく…もう、俺は……
「…っ、……む……」
(頼む、頼む…)
遠くなる意識と、聴覚…
かすかに聞こえた金髪の声と、リオが無線みたいのを取り出して何かを喋ってい…る……―――
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