「テメェぇえ!!話と違うじゃねえか!!なんでこいつをここに連れて来てんだよ…!!」
「まーまー、んな怒るなよ。また血圧上がるぞー?」
「誰が上げてんだよ、誰が!!くそ…、やっぱお前を信用した俺が馬鹿だった!」
「お、信用してくれてたのか?やーそれは悪いことしたな、その信用を裏切っちまってー」
「反省してねぇだろ、こいつは!」


「……」

部屋に入ってからと言うもの、俺は突然始まるあいつとこの…金髪の男のやり取りを黙って見ていた。さっきリオ…?が無駄にデカいって言っていたけど。確かにこの金髪の男…身長が…

「あ!君、新入りくん?」
「おわっ…!」

そんな中いきなり後ろから話掛けられるものだからまたびっくりしてしまった。

「可愛いー!君すっごく可愛いね!名前はっ?」

な…何なんだこの女は…
頭から何かわからないけど植物が生えて…?

「あ…あの…、フウシン…」
「フウさま!じゃあ、フウさまって呼ぶね!いやぁん、可愛いーっ!私はライって言うの、よろしくねぇ!」
「うわっ、ちょ……」

な…何なんだこの勢いは…!いきなり抱き…

「おい、ライ!何してんだよそいつから離れろ!」
「えー?何でよー」
「根元なんだぞ、そいつは!」
「…ちぇー…」

金髪の男の一言で、俺に抱き付いていた女…ライと呼ばれてたか?そいつが名残惜しそうに俺から離れた。
そしてすぐにその金髪に睨まれたものだから、抱き付かれたことによって少し乱れた服装をそれなりに正す。

「…」
「…」

…ずっと睨まれてる。今のこの状況を簡単に言うならば、蛇に睨まれた蛙…
そんな緊張感が俺を縛り付ける。…が、

「おいおい、無駄にデケェの。お前、俺に依頼する前にちゃんと調べろって言ったじゃねぇか」
「あぁ!?」

リオ…が間に割って入ってくれた事により緊張が少しだけほぐれた。金髪は俺から目を反らすと直ぐにリオを睨み付ける

「多分こいつ、根元なんかじゃねぇぞ」
「はぁあ!?何言ってんだよ!あの研究所でずっとキメラや人体実験についての知識や経験を積んでるのは分かってることじゃねえか!」
「それだけじゃイコールとは繋がんねぇだろ」
「だったら!!テメェはどうなんだよ!こいつが根元じゃねえって証拠があるのか!?」
「証拠…、ねぇ。なぁフウシン、話したらどうだ?」
「は…」

こいつ…いきなり話振ってきた…

「…」

……また金髪が睨んでる。長身だからか、威圧感が本当に凄い…

「…俺は…その…」

その威圧感と緊張感からなのか、いつも以上に言葉が出てこない…

「はっ、そうやって控えめに振る舞ってんのも演技かなんかだろが。…あの研究所で、しかも最年少でファーストの地位だ。プロジェクトに関わっているのは間違いないだろ」
「……っ、」

ダメだ、それは否定出来ない…
たしかにあの研究所は凄いことをやっていた…と思う。だけど俺には…、幼い頃からあの研究所にいた俺には何が悪で何が善なのか本当にわからなかったんだ。だから、知らない内ではあるが少なからずあのプロジェクトに関わっていたっていう事実もあると思う。
それに…あの子に会わなかったら、根元になっていたのかもしれないし……だから、否定が出来ない…

「ほら見ろ、否定しな…」
「はいはい、ストーップ」


突然だった。
パンパンと手を叩く音が響いたのは…



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