....prologue


幼い日の記憶に"父"は居なくて。
"母"は俺が生まれる前には死んでいた。




――"神"と言われた天才科学者スイレン。その血を引く者、フウシン。
その理由だけで彼の自由は幼い頃より奪われた。

何年にも渡り得体の知れない研究所に軟禁され、そこで科学者の教育を無理矢理させられた少年。今やもう"少年"ではなく"青年"に成長を遂げた。

その間に分かったことがある。
…この研究所が"何を"研究して、"どんなこと"をしているのか。
…分かってはいたが、それを否定する事なんて。ましてや止めることなんて出来なかった。いや、しなかった。何故なら幼い頃から【ソレ】が当たり前だと思っていて、そして何より興味がなかったから。
自分は何の為に生きて、何を目的としているのかすらわからなかった。

…全てが、灰色に見えた。


そんなある日に出会った少女。彼女は見た目とは裏腹に、とても落ち着いていて度々不思議な事を言った。


「プロジェクトN。それが成された時、全てが終わってしまう…」


…この少女との出会いが、彼の全てを変える事になった。

彼はよく彼女と逢うようになった。彼女も彼と同じく、研究所に縛られていると言う。

毎日逢うのが楽しみになった。
小さな事で笑うのが、とても面白かった。

幸せを感じた


…いつしか心から、彼女を守りたいと思った。


――これは彼の世界が、色付くほんの始まりに過ぎない。


狂い始めた運命…
否、廻り始めた歯車だろうか

全ては彼女から始まった。



――始まりは終わり。…じゃあ、終わりは…?







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