子猫との日常 | ナノ


今日は仕事が早く終わったから早く帰ることができた。仕事帰り、買い物でもして帰ろうかなーと考えていると、いきなり後ろからどすんっと衝撃。


「奏さんだー!」

「わっ…マイルちゃん!?クルリちゃんも!」

「えへへ、お久しぶり!」

「…拶……(こんにちは)」


衝撃の正体は、臨也の双子の妹の片割れであるマイルちゃんだった。私の腰に抱きついてにこにこと笑っている。突然の出来事に呆然としていると、マイルちゃんは後ろにいるクルリちゃんに振り返って胸を反らせた。


「ほーらクル姉、やっぱり奏さんだったじゃん!少し髪が伸びたって雰囲気がお母さんみたいになったって眼鏡にコートにマフラーしてたって私には分かるんだよねー。オーラみたいな?私奏さんだけに反応するセンサー付いてるんだよきっと!」

「騒(うるさい)」


ペラペラ語りだすマイルちゃんをクルリちゃんがごつんと叩く。拳骨。容赦ないなぁ…。
てか雰囲気がお母さんみたいになったってどういうことかな老けて見られたってことかな考えないようにしようなんだか悲しくなってきた。


「ええと、二人は来良に入学したんだよね」

「うん!晴れて奏さんと静雄さんと、ついでに言えばイザ兄の後輩になりました!」

「クラスは?」

「違……(違います)」


そっかあ。臨也の妹だから、先生たちも警戒したのかな…なんてことは口に出さずに、二人の頭を撫でてあげる。
心地よさそうに目を細める二人はなんだか猫みたいだ。そういえば猫耳ついたパーカー可愛いな。イザにゃんにもこういうの買ってあげたい。

ふむ、と考えていると、マイルちゃんとクルリちゃんは私の服の端を握って私の顔を見つめた。


「奏さん、奏さんのおうち行っていい?」

「……へ?」

「奏さんって、今イザ兄と静雄さんと暮らしてるんだよね?やっぱ色恋沙汰もあると思うのなんたって邪魔なイザ兄がいるからね!そこら辺の話聞きたい!」

「う、うーん…あそこの喫茶店とかは?」

「えー。別にいいけど私あることないこといっぱい聞いちゃうよ!例えば、週に何回静雄さんとエッチしてるのとかイザ兄がいるのに家でエッチしてるのとか静雄さんは奏さんのどこにキスマークつけるのとかあとは、「もういいです私の家に行こう」


少なくとも、公共の場で口にするべきではない内容になるのはわかった。それにしてもクルリちゃんもクルリちゃんだ。私が困って家に招くのを見越してマイルちゃんを止めに入らないんだろう。こういう計算しながら行動するというか、少しずる賢いのは確実に臨也の影響だ。


「やった!奏さんの家、奏さんの匂いに包まれてるから好きー」

「喜…、(嬉しい)」


でもまぁ、素直なことに変わりはない。ちょっと待ってて、と二人を残して携帯を取り出した。途端にマイルちゃんが少し声を張る。


「あ、もし家に電話するならイザ兄には教えないでね!」


そうなの?指で丸を作って頷く。家に電話をかけると、しばらくのコール音のあとに『もしもし』と聞き慣れた声が聞こえた。


「あ、津軽?」

『奏、どうした?』

「うん、実はね、今からお客さんを連れて帰るから、津軽たちは隠れてて欲しいの」

『隠れる?』

「うん。イザにゃんとサイケと津軽。2階に居てほしいんだけど、いいかな」

『わかった』


ごめんね、と言って電話を切る。幽くんは寡黙だし会わせてもいいかななんて思ったけど、あの二人はちょっと流石に…。秘密にしてねと言えばしてくれるんだろうけど、一抹の不安があるわけで。
だから、ごめんねイザにゃん、サイケ、津軽。

私は携帯をしまって二人の所へ戻った。


「さ、行こっか」




















「あれ、津軽何してんの」

「奏に隠れろって言われた」


津軽の言葉に俺は首を傾げる。津軽たちを隠すって、誰か連れてくるのか?

津軽が両手にサイケとにゃんこを抱きながら言った。


「なんか、お客さんが来るらしい」

「お客さん?」


全く見当がつかない。

ただ、自分の背中に何か不気味なものが這い上がってきた気がして、ぶるりと身を震わせた。


「……嫌な予感がするなぁ」






(双子を連れて)


(そういえば、どうして臨也に言っちゃダメなの?)
(そんなの、面白いからに決まってるよ!)
(当…(当たり前))
(そうなんだ…)





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