子猫との日常 | ナノ


ピンポーン

ピンポーン ピンポーン

ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン



「だああうるさいっ!」


モニターに映る姿を見てこれは直接出た方が早いと判断する。
鍵を開けてドアを勢い良く開くと、目の前にはモニターで見た通りの見知った顔。


「新手の嫌がらせかコノヤロー!!……って、え、」

「どうしよう奏」


どうしようって、え。どうしようって何っていうかどうしようよりどうしたのと聞きたいよ私は。

目の前に立っている私の彼氏、平和島静雄の腕に抱かれていたのは、黒い尻尾の様なものを揺らす小さな男の子だった。















時は二時間前に遡る。


「あーくそイライラする。臨也でも殴りに行ってくるか」


物凄く自己中心的な提案をさらっとして静雄は臨也のマンションへ向かった。
いつものようにインターホンなど鳴らさず扉を蹴破って臨也の部屋に入った静雄は、部屋の中に人の気配が無いことに気付く。


「居ねぇのか……」


居ねぇならドアを壊す必要は無かったのに。と臨也に関することには自己中な考えを止めない静雄。ちなみに不法侵入は臨也の家のみ許される、というとんでもない思考回路である。
そんな静雄の耳に、小さく布が擦れる音が聞こえた。


「、の野郎……っ」


やっぱり居留守使ってやがった!
一気に頭に血が上った静雄は音がした部屋の扉を思い切り開けた。


「てめぇ……隠れてやり過ごそうとは舐めたマネしてくれるじゃねえか!!」


ベッドの上でもぞもぞと動く塊のシーツを引き剥がす。
瞬間、静雄は言葉を失った。


「………………あ?」


長い沈黙の後に出てきたのは、自分でも呆れるくらい情けない声だった。

しかしこの反応をしてしまうのも仕方なかったのかもしれない。

口をぽかんと開けた静雄の目線の先には、3、4才くらいの男の子がふるふると震えながら座っていたのだから。



頭に猫耳、着ていたシャツの裾からは尻尾を出して。






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