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 がさごそとベッドの端で動く音が聞こえてジルは眼を覚ました。気を失ってしまったらしい事に気付き、しまったとジルは思った。

「ユラ・・お兄様?」

 カグラは手早く身なりを整えていた。

「おや、ジル君を起こしてしまったみたいだね。調子はどうだい」

 そう言われてジルははっとして顔を赤らめた。

「・・おかげさまで、調子は良いです」

 初めてだったにもかかわらずジルの身体にはほとんど負担がなかった。カグラはそれを聞いて「私は上手いからね」と嬉しそうに返した。
 内心ジルは変態親父めと罵りながらもカグラに感謝していた。

「もう行くんですか」

 少し残念だと思いながら問うと「これでも私は重要なポストについていてね。仕事が山積みなのさ」と陽気に答えた。
 それが見栄を張っているのではなく事実なのだろうとジルは思った。

「そうですか・・。また来てくれますか?」

 それは目的のために出た言葉なのか、それともカグラという一人の男に惹かれたからなのか、ジルは知るよしもなかった。

「・・・。悪いね、私は一度手を付けた子は買わない事にしているんだ」

 すまなさそうにカグラは答えた。

「悪い男だろ。だけどそれが私が裏町に来るルールのようなものなんだ」

 カグラが「ごめんね」とジルの頭を撫でよう手を伸ばしたがその手がジルの金糸に触れることはなかった。



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