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カグラが中央機関に戻ったのは不穏な情報が知らされた次の夜だった。
家に戻る暇もなくカグラは足早に白薔薇の一室を目指した。ノックすると相手は彼が来ることがわかっていたのか、すぐに入るよう促した。

「それで、現地の様子はどうなっているんだ?」

部屋の中にはゼファールその人がひとり机越しに椅子に腰かけた状態でこちらを見据えていた。カグラは足早にゼファールの方に歩みを進めた。

「どうにもこうにもあったもんじゃないですよ。リュカスの調査にいったはずがまさかカラバスにまで影響が出ているなんて、それにミザン河は今回の件には関係がない…なのにどうして他国にまでこの病が広がるんですか!?」

現地の惨状を見てきたカグラにとって、この病の恐ろしさと尋常のなさは彼の口調を荒ぶらせるには十分であった。

「落ち着け。影である貴殿がわめくとはいささか役割を忘れているな。それにしても、事態は想像以上に深刻な様だ…影狼、貴殿はどう思う今回の件…」

「…恐らくゼファール、悔しいですが貴方と同じことを私は考えていますよ」

「「醜気が漏れ出している…」」

二人の意見に相違はなかった。だが、その原因がふたりにはまったくもって分からなかったのである。ただ言えるのは何かしらの原因となるものが確実にあるということだった。






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