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二人が弟寮に着くと明らかに軍人ですと言わんばかりのがたいのいい赤い短髪の男が立っていた。 男は二人に気付くとずかずかと近付いて来た。ジルもマルクスも突然近付いて来た男に驚き背筋を伸ばした。
「おい。お前らがジル・カグラとマルクス・エリーダか?」
軽く百九十は有りそうな身体を少し屈めてその男は二人に尋ねた。
「は、はい。そうです、俺がジル・カグラで」
「私がマルクス・エリーダです」
二人は何の打ち合わせもしていなかったのに、息がピッタリ合った返答を反射的に返していた。
そんな二人の返事を聞いた男は、何やら手元のバインダーに挟んだ紙にチェックを入れていた。
「まあ、どうせ生徒会の奴らに捕まってたんだろうが、決まりは決まりだからな・・・はあ・・」
男は何かぶつぶつ呟きながら赤い頭をがしがしと引っ掻いた。するとジルとマルクスに突然白いわっかのような物を渡して来た。
「遅くなったが、俺はこの東側の寮の寮父のカイルという者だ。つまり今日から俺がお前等の親代わりという訳だが、お前等は最初からペナルティを犯しちまったからな、これを腕に着けおくこと。それはまあ警告だ、何度もペナルティを犯すと・・・早い話しまだ死にたくねえだろってことだ」
二人はポカンとした表情を浮かべながらも言われた通りそれを腕に装着した。するとただのわっかだったそれが自分の腕にピッタリとはまり奇しい模様が浮かび上がった。
「な、何なんだよこれ!それに私達が何を犯したって言うんだ」
マルクスは余りの出来事に冷静さを保つ事が出来なくなっていた。
「仕方ないだろ。お前等だけ予定時間内に寮に来なかったんだからよ。ここでは集団生活なんだ、ルールを守らない奴にはそれ相応の罰を与えなきゃなんねえ。それで配給されだしたのがさっきのブレスレットなんだよ」
ぶっきらぼうながらもしっかり答えてくれる辺りに共感を抱きながらも、やはり納得のいかないジルとマルクスだったが、もはやどうしようもないのだろうとカイルの誘導で寮内に入っていったのであった。
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