今日は何だか頭が働かない。
ボーッとしてしまう。
「風邪かなぁ.....」
「どうしたの?」
松野が声をかけてきた。
「いや、頭が働かないから。」
「それってさ、いつもじゃない?」
「なっ………」
何気に酷いなオイ。
という言葉は心の中にしまって置く。
「さ、次体育だよ。行こう。」
「あ、ああ。」
俺たちは運動場へ向かった。
****
体育をしてる時に、異変は起きた。
今日はランニングをする日だっ
た。
いつもなら楽々と走り終える事ができるのに...
「はあっ、はあっ...こんなにキツ
かったけ...」
それが、今日は、スタートしてから500m辺りでもう疲れている。
「半田?どうしたの?」
松野が声をかけてきたが、無理に心配をかけたくないないので
「大丈夫だよ。何でも無い。」
と答えた。
「でも、顔色真っ青だよ?」
どうやら、本気で心配しているようだ。
俺は、本当の事を言おうか迷ったが、やはり心配は掛けたく無い。
「本当に大丈夫だから。心配しなくてもっ...あ、あれ…」
言い切る前に意識が暗転した。
俺はそのまま倒れてしまった。
****
「ん、んんっ....」
「あ、気が付いた?」
目を開けると、松野がいた。
「あれ、俺.....?」
「さっき倒れたんだよ。」
外を見ると、走り終えて地面に寝転がっている生徒がいた。
「ごめん。迷惑を掛けて...」
「それならね.....」
と言うと、松野は俺にキスをした。
「なっ....俺、風邪引いてるのに...」
「これで許してあげる」
松野はそう言うと、保健室を出ていった。
「...ありがとう。」
身体の中の火照りが増したのを、俺は熱のせいにして再びベットに潜り込んだ。
← back →