「星は瞬き かなたに沈む」
息をするようなリズム。音に載せて紡いでいるということは、これは歌なのだろうか。
右手には、きれいな女の人の像がある。土台には文字。「ジョディ・リード」との文字がある。この下にその、ジョディが眠っているらしい。ノットはそれを見て、目を逸らして、それからまた小さく続きを紡いだ。
いつもよりもトーンを落としたその歌が、周りに染み入るように、けれど響かない。だからこそ特別なような気がして、いつもよりも少し近づく。彼の歌を聴くのは好きだ。
「歩くの、遅かったか」
「違うの。続けて」
「……そう言われて、歌うのは、少し」
此方に向けた視線を前方に泳がせてから、長く伸ばしてまとめた毛先を弄る。少し気まずい時……特に、照れているときにする仕草だ。言わなければよかった。と少し後悔していると、しばらくしてから続きの音が聞こえてきた。
わたしの知らない歌。このリズムはきっと、彼の生まれ故郷のそれ。身体に浸み込ませるように、彼の上着の裾をつまんで目を閉じた。
2015/03/06 こもりうた
るびるびさん(@m8p2ttpipi__)のところのティティちゃん借りました。
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