午後13時59分。レアと待ち合わせしてもうじき30分が経とうとしている。こちらは約束を守るためにわざわざ珍しく仕事を前日2日分の仕事をしてやっとのことで掴み取ったオフを使っているというのに。
……ちなみに、『いつも誰かと約束したらどうですか?』なんて抜かした風紀委員の方の補佐、オルガの頭はぐしゃぐしゃにしておいた。

「何がご飯奢ってあげる、だ」

そんなこともあろうかと、腰に下げた鞄から取り出したのは菓子パン。それの封を開けようとした所で、ふと気配を感じて振り返る。

「……レア」
「もーっ、ウィンもいたずらさせてくれないのね!」

口を尖らせてむくれる姿は、身内びいきなんて関係なく、もう三十路を過ぎだとはおもえないくらいに若々しい。せいぜい20代中盤に見えるだろう。下手をすれば親子なんてものではなく、わけありのカップルなんぞに見えるかもしれない。そこまで考えて寒気がした。おそろしい。この女とワケありだなんて洒落にならない。
手を、脇を擽る時みたいな格好にしたままなおも不満げな表情で俺を見つめる彼女の目は俺と同じ赤で、妹・クリスとも同じ赤で。髪の色は俺には遺伝しなかったが、今だプロンドを保っていて。……それも、クリスとおなじで。

「……おい、レア」
「お母さん、でしょ?」

なんならおふくろ、でもいいわよ。なんてやだあ! 私息子におふくろっていわれてお母さんよって訂正するのが夢だったのに、ウィンはそんなの通り越してレア、だもの。……なんて1人で賑やかにしてるレアを見る。クリスよりちょっと背が高い。けど平均的、より小さい。ヒールを脱いだらもっと小さいだろう。それを全部見て。

「……母さん」
「もお、私いやよお? ……え? ウィン?」

驚いてこちらを見る。驚いた表情もクリスそっくりだ。それを無視したふりをして、喫茶店のある方向に歩き出す。「飯おごってくれるんだろ!? そろそろ店開くから行くぞ!」


ああ、レアは俺の親なんだ。なんて思った。

2011/09/22 面影
――いつからこのお題を白黙のみで消化すると錯覚していた?
企画モノを個人のあれに使うなっていう話ですよね。ハハッ。

レアを親としてみていなかった通称兄ちゃん、ウィンの話。
ウィンもいたずらさせてくれないのね! っていうのは、多分先生ズとかじゃなくて、ユウ。レア様視点で書いても面白かったろうなって思って。その、ね。書いていいのよ。いや、書こうとも思わんやろうけど。

兄ちゃんとラル様が一緒に見えるとか言わせないです。ラル様の方がイケメンです。嘘。兄ちゃんもイケメン。ああだこうだと反論したいですがこんなところでいう話でもないので気がむいたら。






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