「……愛してる」

か。と呟いたウィンは俯いて自虐的に笑った。……わからない。俺は、ただそばにいたいだけなんだ。『あれ』が目を三角形にして怒ったり、仕事しながら伸びをしていたのを俺に見られてちょっとはにかんだり、資料をめくりながら横の髪をそっと耳にかけたり、そんな些細なことを見ていたいだけ。
これがなんなのかがわからないから、ただ『恋』ということにして。

(なーんなんだろうなあ)

女に好きだと言われたことは何回かある。そのほとんどが俺の知らない奴からだった。あいつらはいったいなんなんだったんだろうか。俺を遠くから見ていて、それでは足らなかったから『好きだ』なんて言ってきたのだろうか。

(じゃあ俺は、このままでいいから言わねえ)

このまま上司としてずっと見ていられたら、俺はそれで幸せだ。

2011/10/17 mutter
(未来のことはわからないけど)

BGM:「なまえのないうた」DATEKEN

囁く、が誰かに伝えることを目的にしているなら
呟く、は誰にも伝えようとしてないよね






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