「愛してるわ」

ユウが、死んだ。幼いウィンはまだ意味が分からないらしく、ただ涙を流す私をずっと見つめていた。ポトリ、ポトリ。涙は頬を伝って徐々に色を失っていく彼の肌に落ちる。おとぎ話なら、ここで目を覚ますのに、なんて馬鹿なことを思う。

(ああ、本当に青白い)

下から日に当たることのない彼は、何もしていないくせに私と同じくらい白くて、私はそれをよく冗談で妬んだものだけれど、今はその青白さが悲しかった。この人にもう血は流れてないんだわ。なんて再確認させられる。

「痛かったでしょう?」

彼が銃弾を受けたと言われた横腹をそっとさする。痛かったでしょう。その手をそっとほほに当てる。……冷たい。

「おかあさん? 痛いの?」

不思議そうにこちらを見て、小首をかしげるウィンを抱き上げる。

「痛くないわ。……ほら、お父さんにありがとうって」
「寝てるの?」
「そうよ。寝てるの。ずーっとずっと、起きないのよ」
「ずーっと?」
「……そうよ」

やだ! と言って大きく首を振る。それが辛くて、悲しくて、こんな思いさせてしまったことが悔しくて、小さい体を力いっぱい、ぎゅっと抱きしめた。やだよお……、と泣き声まじりに小さく聞こえる。嫌だね。嫌だね。と私もなんども繰り返して、立ってられなくなって膝をついた。わんわん泣くウィンを泣き止ませることもできず、ただじっと、ぎゅっと抱きしめていた。いつまでそうしていたのかはわからないが、気が付けば泣きつかれたのかウィンは眠っていた。

「……嫌ね。私も、嫌よ」

使っていたコップも、歯ブラシも、髪留めも、シャンプーも、二着ある白衣のひとつも、みんないつも通りあなたの帰りを待っていたのに。

「どうして、なの……?」

ささやくような、小さな小さな声を聴く者はいなかった。

2011/10/03 whisper
ユウレア?
時期はリベラメンテが暴走した時です。
だから…本編から10数年前ですね。

最近BGMないです。

何かはくせいさん×私は鬱になる傾向がひじょーに高いですね。
次は甘酸っぱくしようかななんて。
有限不実行なわたしが言うておきます。






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