「ふあ……あ」

大きく伸びをしたら、欠伸が漏れてしまった。それをかみ殺すことができなくて間抜けな声を出すと、涙が出て視界が揺らめいた。ふとガラスに写った自分を見ると、淡い青緑の長い髪は面白いくらいにはねていて、自分のことながら笑ってしまった。
耳が寂しくてイアリングを付けたところで、シャッとカーテンを開けた。

(綺麗だな)

眩しい光が目を刺すように、部屋に入り込んできた。窓の外には、朝靄のかかる大きな大きな世界が広がっていた。ひやりと朝特有の体を通り抜けるような心地いい空気が入ってくる。
もう何十万回も、同じように同じような朝を迎えてきた。塔という季節というものがほぼない特殊な箱庭に来てからも、もう何百回も同じ朝を迎えてきた。それでも僕は、朝を美しいと思う。毎日の暮らしに感謝しながら、忙しいながらも平穏な日々を繰り返すことができること。こんなにも素晴らしいことはない。平和ボケするのは、良くないことだけど。

(……他のみんなを起こしにいかなくちゃ)

まあ、もうみんな起きてるだろうけれど。と身支度を整えて部屋を出た。

2011/09/29 同じ色の朝を並べながら
短い。ヒスイ君でした。
ところでレニタ様の動きがよくわかってないですん…(設定担当)

ソリスかドリラかオルフかヒスイ君の、時間という概念がちょっと私とずれてる人で書く事は決めてましたが、なんか全然浮かばなくて困りました。
ヒスイ君の望む夜明けはきっと平和で幸せなそれ、なんだろうなあ。






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