「この星はすごく大きいんだ」
「この星?」
「そう。この大地。そして海。山。この星」
「でも星は空に浮いて輝いている物よ」
「そう、この星は空に浮いている」
「でも輝いていないわ」
「輝いていない。そう、この星は輝いていない。月だって輝いていない」
「月は輝いているわ」
「あれは照り返しているだけ」
「他の星は?」
「自分で輝いているんだ。太陽が、沢山あるんだ」
「熱くてたまらない」
「いいや、空は冷たい。太陽はとても遠くに、バラバラにあるんだ」
「寂しいわ」
「そうだね。寂しいから、此処にいるって知ってほしくて、輝いているのかもしれない」
「わたしたちは?」
「俺達は?」
「わたしたちも輝いて見えるかしら」
「ああ、きっとまるで流星みたいに」
「ながれぼし。音がするの。きいたことあるかしら」
「ない。けれどそういう人もいるらしい。あれは音ではないけれど、そうだね。寂しさを感じ取れる人には聞こえるのかもしれない」
「あれは泣き声なの」
「きっとそうだ。泣いているんだ」
「わたしは、寂しさを感じ取れる人」
「きっとそうだ。優しいもの」
「……泣かないで。どうか」
流星(没)(2015/03/06)
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