こんなところにいた、と声をかけてきたのは、薄桃色の髪をした少女だった。息を弾ませているところをみると、随分探したらしい。

「また裸足だし……。風邪ひくよっていったじゃない」

そんなふうに言われても、どこに靴があるかなんてわからないのだから仕方がないだろう。そう言いたいけれど、俺はまだ彼女との距離を測り切れてない。どうやら彼女は俺の旅の連れのようなのだが、何の旅で、どんな連れなのかはさっぱりわからない。

「なにか、気になることでもあるの?」
「いいや」

ただ、じっとしていられないだけなのだ。だから飛び出した。けれど今日も、なにもわからないまま。毎日毎日飽きずに雪が降り、世界は白いまま。結ばずに出てきた髪も似た色をしているけれど、吐く息とも、雪の白とも、空の白とも、それは違うなと気づいた。
そんなふうに考えていたことも全部顔に出ていたのか、彼女はこちらに手を差し伸べる。
その手を取るか、取るまいか。そう思っていたら、彼女は泣きそうな表情で言った。

「お願いだから、一人にしないで」

どうか雪が解けませんように(2013/10/12)





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