沢山のことを知っても、知らないことが増える一方で、その探求心はとどまることを知らない。この法則の名前は知らないけれど、きっと法則に名前を付ける人は、名前を付けることを忘れるくらい、そう、息をするように、自然なことだったから、きっと忘れていたんだろう。
(朝が終われば昼が来て、昼が終われば夜が来て、夜が終われば朝が来る)
そうやって一日が終わって次の日が始まるくらい自然なこと。
(じゃあいつか明日が来なくなるの?)
それはない。この星が消え去ってしまおうとも、太陽と月が消えようとも、時間はきっと止まらない。でも、もしボクが死んでしまったら、ボクの明日はもう消えてしまったも同然で。朝が来たら、寝ぼけた顔をしたラルさんが起こしに来る。だから、窓のないこの部屋でも、ボクは朝を知れる。だからつまり、ラルさんが消えてしまっても、ボクの朝は消えてしまう。
いつまでも、続くわけじゃない。
ボクには明確なタイムリミットがあるけれど、それは絶対ではないんだ。もしかすると明日にでも、ボクは不慮の事故で命を落とすかもしれない。
いいや、ボクじゃなくてラルさんが、命を落とすかもしれない。
もしかするとタイムリミットなんて嘘っぱちで、世界の終わりなんてものも一時的な気象の変化に過ぎず、10年、20年が経って、ラルさんはボクのことなんて忘れてしまって、ボクは朝日が世界を照らしても、一人っきりでベッドの上にいるのかもしれない。
夜の隙間をさまようくらいなら、いっそ。
「眠っている間にどうぞ、ボクを殺して」
オルタナティブメランコリー(2013/08/27)
title by 星葬
キミがひとりで寂しくないなら、ボクもいらないでしょう。
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