【もしラルが裏切ったら】

最近、ラルさんは変だ。
ボクが部屋にいてもあんまり話しかけてくれないし、ボクが近づいていったらさりげなく避けられる。ノースとボクを部屋に置いて何処かに行ってしまうことも増えた。トイレだなんて言うけれどきっと嘘。……わかる。何となく。

「……」

(ほら、また)

ひとりで考えてる。

何考えてるの? とか言える雰囲気ではないし、言ったとしても腹減ったなんていってごまかすんだろうな。ラルさんはそういう人だ。触れてしまいたいけれど、怖くて触れられない。知りたいけれど知りたくない。……徐に立ち上がったと思ったら、ドアを開けて出ていってしまった。

「ラル、今日もどっか行っちゃったね」
「……そうだね」
「追いかける?」

まっすぐ見つめる目が少し羨ましくて微笑む。いいや、やめておこう。ゆるゆると首を振ると、ノースは少し残念そうに唇を尖らせた。

(……ほんとは、わかってるんだ)

キミがどこかに行こうとすると、誰かの気が増える。多分、竜族の血を継いでいてもわからないだろうその気は……オーズのそれに酷似している。と、読書に戻ったはずだったノースが顔を上げて軽く叫んだ。

「あ、裏切った」
「の、ノース! 言っちゃダメだよ!」
「えへへー。でもまさか……容赦ないなあ」

僕だったら許せないよー。なんてこっちをちらちら見ながら言うノースは、まだ分かっていないのだろう。世界樹と女神トーギル様。どうか、どうか、お願いだから、ボクから居場所を奪わないで。

(もしもこれがさだめだというのなら、ねむるあいだにいなくなってね)

ねむるあいだにいなくなってね(2012/03/18)
title by ふたりへのお題ったー

ラル闇堕ちはドリラも闇堕ちしそうで
とてもかけないと思って止めたネタの一つです。
めっちゃ短い。





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