一人で生きていくつもりだったんだ、とわらう。僕自身を。それは嘲笑でも、純粋なそれでもない。僕自身この感情がどういうものなのかをよくわかってはいない。ふふ、とまた笑いが漏れる。ああ、全く、無駄に生きているなあ。
「ししょー?」
「?」
「楽しいことでもあったの?」
なにもない。と答えて新聞にまた目を落とす。世界の状況なんかをざっと頭にいれて、ラエディの煎れた美味しいコーヒーを飲んで。たまには朝起きるのもいいものだ。太陽の光は、まだ少し苦手だけれど。チュンチュンと挨拶する鳥たちの可愛い声に耳を傾ける。ああ、いいな。居心地がいい。あとどれだけ生きれるのか分からないけれど。僕の人生の何割を、こんな楽しい時間が占めるのかは分からないけれど。実にいい環境だ。
「……でも、楽しいよ」
「なにー? 何かとんでもないことするつもりなの?」
「何かしたかな」
「してないけどぉー」
「なんとなく」
いみわかんなーいとむくれる少女の頬は日に日にほっそりとしていき、体つきも徐々に子供から少女へ変わりつつある。……いつ、僕という鳥かごから出ていくんだろう。いいや……僕という鳥かごじゃなくて、彼女が僕の鳥かごなのかな? もしかすると両方なのかもしれないな。
「帰る場所を作るつもり、なかった」
これからも、これまでも。そう思っていたのにな。でも、もう少しだけこんな生活をするのもいいな、なんて思う自分が嫌いではなかった。
「帰る場所を作るつもり、なかった」(2011/12/31)
Title by 悪魔とワルツを
これで書き納めー。ドリム!
皆様、2011年はお世話になりました。
これからもどうぞ「きせき」と亜寿をよろしく!
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