素晴らしく憂鬱に生きています

今日も一日、お疲れさまでした




「まだ1日目だけど」

おつかれさまー!ジュースの入った紙コップで乾杯。「マジ木兎がテンション高くて疲れるわ!」「ブロッコリーとタラコってワードは禁止にしよう、うるさいから」「このお菓子食べていい?」わいわいと騒ぐ。

「1年生なんて初めての出来事で疲れるでしょ?谷地ちゃんに及川ちゃん大丈夫?だるくない?」
「だ、大丈夫であります!」
「大丈夫です」

へぇ、烏野の谷地さんは同じ1年生なんだ。「む、村人Bまだまだ働けます!」全員が首を傾げた。「それにしてもあいつら底なし体力よね…明日起きれるのかしら?」私も明日ちゃんと起きれるか心配。「朝はおばちゃんがご飯作ってくれるのが救いよね…」朝ごはんは作らなくて大丈夫なようだ。


「で、実際の所どう?」

あ、きた。この話か。ぐっと息を止める。女子特有の「タオルないんだけどー?だって!一番最初に配ったってば!」…あれ?

「ドリンクいつもより濃くて良いんですけど…とか!こっちは計って入れてるんだから!ていうか良いんですけど…ってなんだ!濃いのがよかったら自分でつくれ!」
「そーだそーだ!」
「…赤葦が「食べてないでしっかり仕事してください」って言う…」
「いやあんたはほんと食べる頻度減らしなさい」
「えー…」

ある意味女子特有と言えばそうなのだろうか、恋バナではなく愚痴大会だった。「さぁ1年ちゃんも言えない鬱憤を吐き出すのよ!」なんて言われて谷地さんとタジタジだった。


「そ、そんな鬱憤だなんて…」
「………ないです」
「あかりちゃん、その間は何かあるでしょ」

まぁ多少なりともは。「黒尾とか手が掛かりそうだもんねぇ…木兎は小学生だから良いけど黒尾は意地悪そうだし」小学生って。あと黒尾先輩も割と…アレですよ、はい。同レベルでもいいんじゃないかな、と思います。「ははは!あかりちゃん意外と辛辣ー!」なんて笑われた。


「えっと…あかりちゃん?」
「ぅ、はい!…えっと、清水先輩」
「先輩は付けなくていいよ」
「し、しみずさん…」
「うん。で、すごく気になってたんだけど…」

美人さんが気になる事ってな「宮城の青城の及川の妹って本当…?」それですか。「だ、大王様の妹さん…!」大王様とは。「あ、やっぱりあかりちゃんって妹なんだ。なんかそんな感じするー」とにこやかに言われたけど、別に妹っぽい所は無いと思います。


「あの及川でこの妹は…無いわ」
「…あの、何かありましたか。というか何かやらかしましたか?」
「声掛けられただけ」
「……俗に言う」

あれですか、ナンパですか。それは大変徹が失礼しました。土下座の形を取ったら「まってやめて、それはやめて」なんて清水さんに止められた。いや、兄の不手際を私が謝らなければ。「ほんと、兄に似ず良い子だね」なんて褒められた。後で文句の電話を入れてやる。


「あかりちゃんのお兄さんってどんな人?ナンパがどうのって言ってたけど…」
「似てない、チャラ男」
「写真無いの?ねーあかりちゃん」
「私が徹の写真を持っているわけがないです」
「…なにこの兄妹関係…」

あ、でも…なんて清水さんが雑誌をバッグから取り出した。月刊バリボー?「これ及川載ってる」え、そんなのに出てたの?「ウシワカも載ってて」そこは流石若さんと言ったところか。


「…うわ、超イケメンじゃん!」
「でも確かにチャラそう…」
「あかりちゃん似てないね。良い意味で」
「英里こう言う人苦手だよね」
「真子はこういう人タイプでしょー?」

なんて色々盛り上がる。なになに…座右の銘は『叩くなら折れるまで』?ふと仲が悪かった時を思い出す…もしかしたら、あのまま叩きおられてたかもしれない、こわいこわい。ふと「ほへー…」と雑誌を眺める谷地さんが目に入った。


「…どうしたの?」
「ヘァ!?あ、いや…こうやって雑誌に載ってるの見るとなんか違う世界の人だなーって…思いまして」
「中身はとっても残念人間だよ」
「えっ」
「この前まで仲悪かったんだけど漸く仲直りしたと思ったら…」
「あ、それ影山が言ってた。『及川さん、頭がヤバくなりました』って。影山の語彙力が無さ過ぎて何が何だかまったく分からなかったけど」

所謂シスコンとやらに…あ、なんか岩泉さんが言うには昔からだったらしいんですけど。「えー、シスコンお兄ちゃん良いじゃない!大切にしてもらって」生川の宮ノ下さんが言うが、度が過ぎると言うものだ。「次実家に帰ったら多分結婚しようって言われます、冗談抜きで」しん…、と部屋が静まり返った。「あー…そういう…あー」あったことが無い人間はフォローできないようだ。「つまり…あかりちゃんは家出してきた、と。というか宮城出身とか全然知らなかった!」理由は若干違うけど、家出と言ってしまえば家出だった。


「だから影山に頭おかしいって言われてたのね」
「出会ったら不審者として通報して構いませんよ。谷地さんも」
「ふほぉ!?いいいいいやまず私の近くには現れないと思いますが!」
「視界に入った瞬間にでも」
「…あかりちゃんって、お兄さんの事嫌いなの…?」

嫌い、では……


「でも最近自分はブラコンなんじゃないかって思いました」
「ちょ、あかりちゃん兄に毒されてる」
「…また、なんで?」
「思い出すと胸がぎゅーってなります」
「ちょ、あかりちゃん落ちついて冷静に」

冷静ですが。「それってさ…及川のどういう時をみてそう思うの?」清水さんの質問に迷い無く「サーブ打つときです」というと清水さんは深く溜息を吐いた。なんかすいません…。


「影山をじーっと見てる理由ね」
「…あー?」
「つまり、」


あかりちゃんサーブに恋してるのかー…


「あれ、でもうちの高校は?」
「サーブすごいけど、違うんです」
「わからん…」




マネージャーズの就寝前の話。これで全員から危険人物指定される及川兄。
時系列的には
兄妹不仲→烏野青城練習試合(潔子さんナンパ)→音駒青城練習試合(仲直り回)
なはずなので違和感は無い筈…。及川兄妹不仲中は兄は色んな美人さんに声を掛けるドクズ川でした。今?妹以外見えていませんが何か

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