素晴らしく憂鬱に生きています

とてもとても憂鬱です




全く持ってがっかりだ。私は静かに怒りながら自分の寮の部屋へと戻って来た。リエーフ君と東月君以外私に気づかないし、なんだかんだでバレー部員楽しんでバスケやってるし、突き指でもしたらどうするのだ。まったくもう。べしっと携帯電話をベッドに放り投げる。ふーんだ、今日はもう知らない。猫又監督はどうしたのだろうか、コーチも居なかったし。どちらも用事だろうか。監督とコーチが居ないだけでどうしてこうなるのだ。


「…私と、リエーフ君も人の事言えなかった……」

ブーメランだと気付く。みんなが遠征行ってる間、私とリエーフ君バスケしてた…うん、してた。私は頭を抱えた。そうだ、人の事は言えなかった…。私、夜久先輩に怒っちゃった…。いやでもやっぱり私悪くないよね、うん。悪くないよ。先輩なのに他の部活に乱入する夜久先輩たちが悪いんだ。


「……ぅ」

放り投げた携帯電話が鳴る。手を伸ばして画面を見ると、先程電話していた夜久先輩…からではなく黒尾先輩からだった。よし見なかった事にしよう。暫く放置すると音が消えた。さて、再び携帯電話を手にし、メールを見る…とラインが来ていた。気づかなかった。徹からだった。


<もうそろそろそっちに着いた?>

無事に寮に到着しました。っとメッセージを送る。既読にならないから部活中かな。部活頑張ってね、とも送信しておいた。その後やる事が無くてベッドの上で転がりまわる。部活出る気で居たからこの時間が暇だ…しかし今日は意地でも部活行かないぞ。バスケでレシーブするお馬鹿さんなんて知らないのだ、いやそこじゃないけど。問題点はそこじゃないけど。

ぴこん

メッセージ受信の音が響いた。誰かなと画面を覗きこむと東月君だった。<メシ争奪戦は無事白紙になってどっちも自分の部活に戻ったよ>なんてメッセージが来た。と同時に二枝君から<東月激おこプンプン丸>とメッセージが来た。東月君がとうとうキレたようだ。仕方ないんじゃないかな、魔王さまが降臨しても。東月君に<胃には気を付けてね>二枝君には<骨は拾って埋葬するね>とメッセージを返した。


…お……わー…


?なんか、聞こえた。窓の方へ移動して下を見ると寮の前に東月君が居た。あれ、どうしたの?私は窓を開ける。


「悪い及川ー」
「ううん、大丈夫ー。どうしたの?」
「なんかバレー部に泣き付かれた」
「………」
「わるい、ちょこーっとだけバレー部の謝罪聞いてやってよ」
「東月君そちらの味方だったか」
「お願いします魔王様、あかりを説得してください。ってバレー部の主将に土下座されて気まずいんだ俺」
「うちの阿呆主将が申し訳ない」
「胃には気をつける」

駄目だ、このままでは東月君がストレスで胃炎を起こしてしまう。「わかった、行く。ごめんね東月君」「いいや、ありがとな」私は私服の上にジャージを羽織り部屋を出た。全く、東月君に迷惑を掛けるな。寮の前にまだいた東月君にお辞儀する。「ごめんね」「いやこっちこそごめん。ところでさ、なんで俺魔王って呼ばれてるの?」それに答える事は出来ないよ。怖いもん。「……さぁ?わかんない」それだけ返しておいた。






◇ ◆ ◇




「さて、みなさまお久しぶりです2日ぶりです。さて、言う事は何かありますか無いですよね。帰ります」
「ここまで饒舌に話すあかりちゃんを俺は初めて見た」
「帰ります」
「うわー!待って待って!冗談!黒尾ジョーク!」
「意味わかんないです、徹と同じくらい意味がわかんないです」
「徹と同じくらいってすげーヤバいじゃん」
「はい、ヤバいので帰ります」

黒尾ジョークってなんですか、ジョークにすらなってないのですけど。背を向けると腕を必死に掴む黒尾先輩。先輩の威厳は、私は仕方なくバレー部と向き合う。なんか、少ない。良心その2こと海先輩が居ないのは聞いたけど、犬岡君とか芝山くんとか良心その3その4になりそうなメンバーが居ない。「いやー…」黒尾先輩が目線を逸らしながら口を開く。

なんでも、コーチも監督もどうしても外せない用事が出来たらしい。そして部員数名外せない用事でお休み。さてゲームをするにも人数が足りない、じゃあ今日は基礎錬だな!なんて声を上げたら丁度目の前を通りかかったバスケ部主将が云々かんぬん。ご飯を奢る賭けが浮上。なぜその誘いに乗ったのか甚だ疑問である。夜久先輩も、今いるメンバー唯一の良心なのになんでミイラ取りがミイラになってるのですか。


「負けたらメシと、あとあかりちゃんバスケ部にくれって言われて」
「馬鹿なんですか」
「夜久最近短気だったから」
「自分の意志でバレー部入ってるんですから、バスケ部に行くわけないでしょう」
「夜久のそれはな。そういうアレじゃなくて…」
「黒尾先輩意味わからないです」

そういうアレってなんですか。キッと夜久先輩の目を見ると「…いや、俺も煽り耐性が無かった…悪かった」なんですか煽り耐性って、なに煽られたんですか。



「今度は無いですからね」

ハイ、すいませんでした。全員が頭を下げた。まったく、今度東月君に迷惑かけたら許さないですからね。



          
東月君に迷惑かけたらとんでもない事になると予想しているあかり。山が噴火するとか思っている、魔王だから。言うて前回東月君があかりとリエーフバスケに誘ってますけどね

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