何故、今私は着飾られているのだろうか。


「やっぱりこっちの色の方が」
「いやっ、横に並ばせるならこっちだろ」
「極限にこれがいいと思うぞ――!」
「柚羽さんには青じゃないですか?」
「僕はコレがいいと思うけど?」
「クフフ……どれも素敵ですね」


そしてその私の周りにはボンゴレの守護者達が。
百歩譲って、武とランボなら分かるとしようか。
しかし何故、了平や隼人までいるのだろう。
そして一番あり得ないと思うのが、骸と雲雀。
何故彼らまでがいる?
骸が作り出した幻覚の中に私はいるのだろうか……。


「やっぱりコレかな」


長い時間着せ替えされてようやく全員一致したのが、一つのドレスだった。
更には髪は結い上げられ、顔はメイクされ、靴やアクセサリーにいたるまでコーディネートされた。
今日一体何があると言うのだろうか。



「柚羽、覚えてないのか?」


そのまま車に乗せられて、疑問を口に出してみれば全員に同じ様な事を言われた。
あの骸や雲雀にまでだ!
やはり骸の幻覚の中に……(いい加減にしつこい)


「ごめん、でも本当に分からない」
「お前なぁ……」


苦笑いをするのは武。
そんな笑い方をするのならば教えてくれてもいいのではないだろうか。


「まぁ、行ってからのお楽しみなんじゃない」
「柚羽に?」
「いや、お互いに」


そりゃいいと今度は全員が笑った。
こいつらは……!と頭に血が始めた頃、車がキッと音を立てて止まった。


「おっ着いたか」
「よし行って来い」


そのままドンと背中を押されて車からまるで飛び出すかの様に降りた私。
高いヒールの靴を履いていたせいか、止まるどころかバランスを崩して、丁度目の前にいた人にぶつかってしまった。



「ひゃっ…ごめんなさい……皆何を…」
「柚羽?」


押し出された怒りを守護者達にぶつけようとしたら、ぶつかってしまった人に名前を呼ばれた。
顔を上げて誰だったのかを確認してみれば、開いた口が塞がらない。


「つ…綱吉……?」
「どうしてこんな所にいるの?」


こうやって話している間にもう姿がない守護者達にされたことを洗いざらい話す私。
何故こんな事をされたのか分からない私の話し方が、文句を言うような雰囲気に変わってくるのに対して、不思議なことに綱吉の顔に笑顔が浮かんでいる。

ふと話すのをやめて地面を見てみれば、自分の腰の辺りに何かついているのを見つけた。
取ってみれば、葉書ほどの大きさをした二つ折りのカードだった。


「……?」


なんでこんな所にカードがあるのだろうか。
開いてみれば、またもや唖然としてしまった。


「柚羽、どうした?」
「――綱吉、今日もしかして誕生日なの?」
「そうだけど」


さらりと肯定されては、もう目を白黒させるしかない。
カードに書かれていた言葉。


“Buon Compleanno! La decima della Vongola!
Per favore riceva il presente da noi.
Tutti i guardianoi”


〔誕生日おめでとうございます ボンゴレ10世 
我々からのプレゼントをどうぞお受け取り下さい
ボンゴレ守護者一同〕



「彼らからのプレゼントか」


カードを見せれば綱吉はくすくすと笑っていた。


「私がプレゼント……?」
「なかなか洒落たプレゼントだよ。…じゃあ行こうか」


そう言って綱吉が私に手を伸ばした。
ドレスを着ている私をエスコートしてくれると言うのか。


「でも行くって……どこへ?」
「ここ、彼らがセッティングしてくれたみたいだよ」


よくよく見れば、今まで自分達が立っていた場所は五つ星レストランの前であった。
そして綱吉も正装をしている。
全て彼らに仕組まれた事であったのが伺えた。

彼の誕生日を覚えていなかった自分がいけないのだろうけど、守護者の面々には後で覚えていろと心に誓ってみたり。

けれど私はまだ彼に大切なことを言っていなかったことを思い出した。


「そうだ」
「?」
「綱吉、誕生日おめでとう」
「――ありがとう、柚羽」


のばされた手を取って、私は綱吉と良い香りのするレストランへと足を運んだ。

むしろハプニング
(本当にびっくりしたよ)(私もだ……)




Happy Birthday! Tsunayoshi!

珍しい微ギャグ?※伊語は翻訳サイトからなので、信憑性はあまり……ご了承下さい。
(081015)
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