あこがれ夫婦

・ついった小ネタの潮江と一年くのたま主
・↑は夫婦じゃない





忍たまの一年は組の皆が山田先生のご自宅に行ったらしい。山田先生の奥さんすごい美人だったんだよ、それに優しかった、なんて言う団蔵くんたちの顔はにこにこ笑顔で、本当に素敵な人だったんだろう。



「私も、山田先生の奥さんみたいな素敵なお嫁さんになりたいです」

だからそう言った私に、算盤を弾きながら話を聞いてくださっていた潮江先輩は押し黙ってしまった。
どうしたのかと思えば難しそうな顔を上げてこっちを向く。お手伝いの手が止まっているのを怒られるのかと思ったけれど、潮江先輩は深く息を吐いてから「なまえ」私の頭にそっと手を乗せた。

「山田先生の奥方なら素晴らしい御方だろうが……お前は誰かのようなでなく、誰か以上に優れた妻になれる筈だ」
「……ほ、本当ですか?」
「ああ。だから、精進しろ」
「は、はい!」

くしゃくしゃと撫でてくれる不器用な手が大好き。すぐに離れてしまったけれど、幸せな気持ちはしばらく消えそうにない。潮江先輩にそう言っていただけたなら頑張るしかないと思うのだ。

頑張って、誰よりも素敵なお嫁さんになろう。そして大人になった私が素敵なお嫁さんになれたとき、傍にいてくださるのは潮江先輩がいいなぁと思ったのは、今はまだ、内緒。




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