閑話

「……私は、どうすればいいんだろう」

「……」

「千鶴が、思い出したんだ。でも、消えてしまった」

「……」

「千鶴が笑ってくれていたら、それでよかったと、そう思っていた。いつかの私がそうしていたように、私のことを振り返らずに生きてくれても、幸せになってくれるのならそれでよかった」

「……」

「そりゃあ、思い出してほしかったけど、そうじゃないんだ。謝って、笑って許されたかったけど、そうじゃないんだ」

「……」

「私が会いたかったのは千鶴だけど、だって、この世で出会った千鶴も千鶴だったから、千鶴が消えていいわけじゃ、なかった」

「……」

「きっと私が千鶴を苦しめてしまったのだ」

「……」

「なぁ、長次。それでも私は、千鶴に会いに行ってもいいんだろうか」




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