ツイ夢ログ10

上ノ島と七夕/
「一平、短冊にはなんて書いたの?」
「実技も一番になれますように、です!」
「あら。じゃあ私は一平のお願い事が叶いますように、って書くわね」
「えっ」
「駄目?」
「だって、先輩のお願い事が……」
「私は一平が喜ぶのが一番の願いだけれど……じゃあ、一平と一緒にいれますように、って書くわね」
「!」





三反田と七夕/
「数馬!」
「なぁに?」
「数馬の短冊に、私のお願い事が叶いますようにって書いて!」
「どうして?」
「絶対に叶えたいの!あ、数馬のお願いは私が代わりに叶えてあげるから!」
「う、うん。……はい、これでいい?」
「ありがと!それで数馬のお願いってなに?」
「うーん……やっぱり君の願いが叶うことかな」





食満と夏祭り/
おもちゃのような銃を構えて、引き金を引く。それだけで的となったぬいぐるみは見事に倒れた。こういうのって、倒れにくいように細工してるんじゃなかったっけ?そう不思議に思うくらいには驚きの光景だ。

「結構得意でな。昔から」

食満先輩はそう笑って私にぬいぐるみを差し出してくれる。可愛い熊だ。

「田村、いるだろ。後輩の。あいつならきっとあっちのも取れたんだけどな」

そう指差すのはこれより二回りほど大きなぬいぐるみ。まさかとは思うけど、食満先輩が言うなら本当なのかもしれない。田村くん凄い、けど。

「私は、これがいいですよ」

食満先輩が取ってくれた、このぬいぐるみが、いいんです。





善法寺と夏祭り/
不運にも人の波に飲み込まれること三回。はぐれそうになる僕に困ったように笑って、彼女は手を差し出した。それは僕が出来なかったことで、とてもしたかったことだ。
「ごめんね、ありがとう」小さなその手を握り締めて、今度こそその隣を歩く。こうして歩けるなら、不運もたまにはいいかなぁ、なんて思いながら。





綾部と夏祭り/
「あれ、綾部くん。ひとり?」
「んーん。タカ丸さんは女の人に声かけられてて、向こうで滝と三木が遊んでる」
「……人だかりができてるけど」
「滝は輪投げ、三木は射的得意だから」
「へぇ。綾部くんは?得意なのとか好きなのないの?」
「型抜き」
「え?」
「型抜き、得意」
「……へー」





善法寺と花火/
賑やかだなぁ、と彼らを眺める。とりあえず花火を振り回してる小平太は存分に叱られろ、なんて思っていたら伊作くんが近づいてきた。相変わらず不運なのかぼろぼろだけど気にした様子もなく笑ってる。

「線香花火、好き?」そう言う彼の手には線香花火が束のまま。
「うん、好き」私はそれを受け取った。

しゃがんで線香花火に火をつけると、伊作もすぐそばにしゃがみこむ。でもその手は空で「やらないの?」私の問いに曖昧に頷いた。

「僕がやると、すぐに落ちるから」
「ああ……」
「でも線香花火は好きだから、君がやっているのを見ていたくて」

いいかな、なんて言われて断るわけがない。私は勿論と頷いた。

「皆は興味なさそうだから、全部持ってきたんだ。全部やっちゃっていいからね」

これだけ全部やっていたら時間が掛かるだろうなぁと思った、けれど、伊作くんがそれだけ一緒にいてくれるのならそれはそれでいいかもしれない。そんなことを考えていたら、ぱちぱちと弾けていた火が、ぽつり、落ちた。





人狼パロで竹谷夢/
ああ、人の振りをした狼は彼らだったのか。倉庫の中から蹂躙されていく村を見ていた私は、ただただ流れ出る涙を拭うこともできなかった。響く悲鳴。奴等の咆哮。私はどちらにも耳を塞ぐ。何も聞きたくなかった、何も知りたくなかった。
「朝子、」
ハチ、貴方が人狼だったなんて、知りたくなかった。



「来ないで」

泣く彼女を抱き締めて慰めたいのに、泣かせているのは自分なのだという事実が胸に突き刺さる。
どうして彼女は人間なんだ。何度も浮かんだ思考が渦を巻く。彼女には生きていてほしい。けれど仲間たちは生き残りなんて許さないだろう。
なら俺がこの手で、なんて……できるはずが、ないのに。





食満夢/
「お前また平太を……」
「抱っこしてたら寝ちゃった。ね、留三郎、ちょっと隣に座ってくれない?」
「平太が風邪引いたらどうしてくれるんだ」
「まぁまぁ」
「ったく……で、何だ?」
「私も眠たくなっちゃって。でも平太を抱っこしてるから横になれないでしょ?」
「……まさかお前」
「肩借してね。おやすみー」


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