伏木蔵(5歳)の兄心 村で一番小さな子だから可愛がられてきた伏木蔵(5歳)が隣の家に生まれた女の子を皆が可愛がるようになったから不満に思いつつ、世話を頼まれたので嫌々面倒見てるうちにだんだんと兄心が芽生えていくお話が読みたい のでちょっとだけ書いてみた↓ 「お兄ちゃんなんだから」 でも、となりの子でしょ、ぼくのいもうとじゃないもん。 そう不満を抱くけれど、もうそんな我が儘は通じないことを伏木蔵は知っていました。小さな存在はそれだけで価値があるけれど、更に小さな子にはけっして勝てません。かつての自分もそうだっただけのこと。ああおもしろくない。 赤ん坊のふくふくとした頬をつつきます。赤ん坊が泣き出せば、この子の親は赤ん坊を自分から遠ざけるでしょうか。 それでもいいもん、この子はキライ。他の大人たちがどう思うかまで考えないのは、伏木蔵もまた子供だからです。自分が愛されなくなった原因なんて、いらなぁい。 けれど伏木蔵が怒られるようなことはありませんでした。 「きゃっきゃっ」 楽しそうに笑う赤ん坊に伏木蔵は言い表せない思いを抱きます。苛めてるのに笑うなんて、おばか。けれど赤ん坊の笑い声は何だか不快じゃありません。ちょっと優しくしてあげてもいいかな、そう思いつつもう一度頬に指を伸ばせば。 「――!」 ぱくりと、くわえられました。慌てて引き抜きますがなんてちからだあやうくもってかれるところだったなんて混乱する伏木蔵は、笑いながら真っ黒な目を向けてくる赤ん坊にごくりと唾を飲み込みました。 「…すごいスリルー」 ここに戦いの火蓋が切って落とされたのです。 ← ×
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