しますぐぴゅあぴゅあポッキーゲーム! | ナノ
※ ちゅーでいっぱいいっぱいなの。な ぴゅあぴゅあしますぐ。















 はいっ、坊これ。と手渡された箱に思わずおわっ、声を上げた。両手で丁寧に渡されたその箱を二度見して顔を上げると、志摩がへらりと笑った。
 坊、甘いの好きやろ?
 プレゼントやで、と志摩がこちらに向けてウインクをする。相も変わらず恥ずかしい奴だと思う。その箱にもう一度目を落とし、俺は軽く頷いてからおおきに、と志摩に笑いかけた。
 夕食後、突然部屋に来た志摩に驚いてなんやと尋ねれば、手渡されたポッキーに顔が緩んだ。今日はポッキーの日なんですえ?と志摩に言われて、ああそういえばそうやったな、と気付く。すっかり忘れとった。
 自分だけもらうのも申し訳ないと思い部屋の中を見渡していると、じゃあ、勉強気張ってくださいと志摩が扉に手をかけた。
「し、志摩!」
「うわっ!な、なんです、ぼん?」
 扉の向こうに消えかけた身体を無理矢理引き寄せた。目を丸くした志摩が俺の顔を覗き込み疑問符を浮かべる。俺なんか余計な事しはりました?と苦笑いをする志摩にちゃうわ!と叫んでどないしよかと思考を巡らす。
 人からプレゼントをもらって、ましてやその相手が恋人で、そのままおうありがとな!と部屋に帰すなんてことはしたくなかった。何か、何かないかと志摩の腕を掴みもう片方の手でポッキーの箱を掴みながら考える。ふと、頭にその単語が浮かんだ。
「な、なぁ志摩」
「はい、なんです、坊」
 真っ直ぐな目を向けられて恥ずかしくてたまらない。志摩の身体を部屋の中に引っ張り、その扉を閉めて、口を開く。
「ぽ、ポッキーゲーム、せえへんか…」
 志摩がは?と間抜けな声を上げた。ぼん、いま、なんて?
 志摩の顔がカァーと赤くなり、志摩が再度問うた。赤くなった顔につられてこちらも顔に熱が集まっていく。ああ、俺はなんてこと言うてしもうたんや。
「い、嫌ならええんや」
 そう言って驚きこちらを見つめる志摩から目を反らし、背を向けると、その肩を捕まれて坊、と名前を呼ばれた。振り向くと、ふて腐れたように頬を膨らませた志摩がやり方知ってはるんですかと言った。
「やり方て…両側からポッキー食うだけやろ」
「そ、そうやけど…」
 以前顔を赤く染めたままの志摩がもごもごと口籠もる。おん?と耳をそちらに向ければ、坊は。と言われた。俺がなんや。
「坊は、ただ食わえとってください」
 おれが、ちゅーしたいんで。
 今度は俺が驚きで目を見開く番だった。

 (触れた唇はきっと蕩けたそれより甘く)