ゆんさん好きです。大好きです。2 | ナノ











「なあ、ほんまにここでやるんか?」
「え!?何言うてはるんです坊!廉造のこれはもう」
「あー言わんでええ!わかったから!言うな!」
 カーペット地の床にぺたんと座り込み、勝呂のYシャツのボタンをいそいそと外す志摩に問い掛ける。すると志摩が絶望したような見放されたような顔をして下品な事を口走ろうとしたのでそれを慌てて止めて、自らも同じように志摩のYシャツへと手を伸ばす。
 別に俺のはせんでもええやん、と首を傾げる志摩に、俺だけやと恥ずかしいやろ、と唸れば、ああそうやね、とクスクスと志摩が笑いながら顔を近づけて来る。
 触れる唇にぎゅっと目を瞑ると、優しく頬を撫でられて唇を志摩の舌が舐めた。その舌に答えるようにおずおずと口を開けば、志摩の舌が口腔に侵入して歯列をなぞる。舌を搦め捕られて甘噛みされると、びりりとした刺激が脊髄を犯した。
 志摩はキスが上手いと勝呂は思う。とは言え物心付いた時から一途に志摩だけを思っていた勝呂にとって、触れるだけのキスならまだともかくとして、ディープキスなど彼以外の人間とはしたことがなかった。なので断言はできないのだが、それでも勝呂は志摩とするキスが1番気持ちいいのだろうと思う。自らが愛してやまない彼と、だからである。

 互いの唾液が空気と混ざり合う音に聴覚までも犯され、勝呂は下腹部に溜まる熱に身を震わせた。ボタンを外していたその手を止め、棚へ預けていた背中を浮かせて志摩の首へ回す。頬に触れていた志摩の手が勝呂の肌を擦りながら下降する。首筋、鎖骨と触れた指が胸の突起を掠めて、勝呂は咥内へ甘い声を零した。
 坊、凄いドキドキ言うてはる。
 一度唇を離して志摩が勝呂の耳元で囁いた。ぺたりと冷たい手が胸に当てられて冷たさに身体を震わせると、腰を支えられて身体を引かれる。どっと床に膝をついて志摩を見下ろせば、上を見上げた志摩が薄い唇を舐めて坊が上な、と笑う。
「な、なんで…俺が…っ」
 生理的な涙が頬を伝う。羞恥で泣けてきてしまって、眼下の志摩を見つめれば、今日は坊が上の気分やんか?と疑問符付きで言われる。わけがわからなくて知らんとだけ返すと、志摩が頼みますとこれまた意味のわからないことを言うので、勝呂は眉尻を下げた。
 その間にもどくどくと内側で燃え続ける熱に身を焼かれながら、催促のつもりで志摩、と名前を呼んでその太股に脚の間の熱を擦り付ける。そんな勝呂の行為に気付いた志摩がニヤリと笑って、ココ、キツいですか?と顎髭を舐め、スラックスの上からそこに触れた。
 ゆるやかな刺激に脳を甘い痺れが走る。でもそれだけではやはり物足りなくて、志摩の耳元で廉造、と下の名前を呼べば、志摩が息を呑むのがわかった。

「坊、名前呼ぶんはずるいですわ」
 志摩の手がバックルに触れ、器用にスラックスと下着を脱がして勝呂の陰茎を握り込んだ。途端に先程とは比べものにならない快楽が身体を駆け抜けて、あ、ん、と声を漏らす。溢れ出るカウパーを掌で捏ねるように先端に塗り付けられると、普段はすることのない愛撫の気持ち良さに勝呂は無意識に志摩の頭を掻き抱いた。
 気持ちええのん?と胸にキスを落としながら問う志摩に荒い息で気持ちええと返せば、その舌が胸の突起を舐め上げて、衝撃に唇を噛んで背をのけ反らせる。ちゅっちゅっとリップ音を立て突起を何度も啄まれながら、下では竿を扱かれて段々と高みに上っていく。
「…は、ひ…っしま、あかん、イッて…ま、ぅ…!」
「ええよ、坊、一回楽になっとき」
 胸にかかる息がくすぐったい。志摩が亀頭を軽く爪を立てて抉ると、勝呂はぶるりと身体を震わせて志摩の手の中で吐精した。ビュッ、ビュッと何度かに分けて全てを吐き出し、肩で息をしながら余韻に浸っていると、陰茎を握っていた志摩の手が後方に回り、尻たぶを掴む。
 その感触に「ヒッ」と上擦った声を漏らせば、志摩が空いた方の手で後頭部を掴み引き寄せ唇を合わせる。

 最後まですんのか、と確認も取れないままに、志摩の手が穴の周りをなぞり、勝呂の精液やカウパーで濡れた指をその中心へと差し込んだ。何度経験してもなれない異物感に、なんとか力を抜こうと自ら舌を絡めると、指が二本に増え、ぐにぐにと腸壁を好き勝手嬲る指が前立腺を掠めて軽く意識が飛ぶ。
 ちゅぷっ、と水音を含ませ唇が離れると、志摩が息を切らして勝呂の名前を呼んだ。坊のここ、いつにも増してキツいんやけど、興奮してはるんですか?中で折り曲げられる指に勝呂が喉をのけ反らせて喘ぐと、浮き出て上下する喉仏を志摩がべろりと舐め上げた。その行為にきゅうっと勝呂の中が収縮して志摩の指を締め付ける。

 坊、挿れてええですか。
 そんな坊を凝視して、切羽詰まれた志摩が勝呂に問い掛けた。その言葉に勝呂がびくりと肩を揺らし、返事を返すより先に志摩のスラックスへと手を伸ばした。
「ちょ、え、坊?」
「え、えから、ん、…っは、黙っとれ…」
 戸惑い勝呂を見上げる志摩をスルーして、勝呂が乱暴にベルトをはずしスラックスのチャックを下ろした。とても丁寧とは言えないやり方で下着をスラックスと共にずり下ろす。
 勢いよく振れた志摩の性器を目の当たりにして勝呂がごくと咥内に溜まった唾を飲み込んだ。自らの脚にたまった下着やらスラックスやらを取り除き、志摩の陰茎を掴む。
 どくどくと脈を打つグロテスクなそれにキスを落として、勝呂は再び志摩の上に跨がった。志摩のそれを数回扱き、蕾に宛がい腰を沈める。くぷ、と先端が勝呂の中へと消えていき、勝呂は苦しさにも似た快楽に息を震わせた。一呼吸おいてゆっくりと志摩を中に招き入れるのがまるで焦らされているようで、坊堪忍と短い断りを入れてその腰を掴みその身体を一気に貫いた。

 瞬間勝呂の口から叫びにも似た喘ぎ声が上がり、志摩は慌ててその口を押さえる。
「坊、かいらしいんやけど誰か来たらどないすんの」
「あ、ぁ…っしまの、ん、阿呆お…っ!」
 お前のせいやろがとグズグスになった顔で勝呂が志摩を睨みつけた。その顔が志摩をさらに煽るとも知らずに。
 ほんまに堪忍な、と志摩がボロボロと生理的な涙を流す勝呂を抱きしめてその背を摩る。勝呂が甘えるように志摩を抱きしめかえすと、勝呂の中の志摩が膨れ上がり勝呂がひ、あ、と断絶的な喘ぎ声を漏らす。
 繋がった部分の熱に浮されて、勝呂はぼやけた脳みそを持て余し意味のない母音と熱い息を吐いた。こんな場所で志摩と行為に及んでいるというのに、この背徳感にすら興奮している自分が浅ましく、それでいて笑えた。こんなにも気持ちがいいなんてストイックな彼は知らなかったのだ。
「あ、!あぁ…っ、しま、好きや…ほん、ま…、っん、」
 身体を揺する志摩に合わせて勝呂も自らの腰を擦り付け、ぱんぱんといやらしい音を立てる結合部に思いを馳せながら、何度も互いの唇を食む。
「坊、俺も、坊ほんまかいらしいわ…っ、愛しとる…!」

 頂点が近付き、歯がぶつかり合うことも気にせず獣のように唇を重ね、互いを貪りあう。
 ガツガツと肉のぶつかる音の響く一室で声を潜めて愛を育む二人が、鳴り響くPHSの音に気付くのは果たしていつになるのだろうか。












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しますぐオフィスラブ。オフィスパロ。どちらか片方の視点で展開しないエロを初めて書きました。ご覧の通り大苦戦しました。
ネタを下さったゆんさんに感謝しきれない感謝を捧げます…!不完全燃焼になってしまったのでここはもうゆんさんのしますぐに補完してもらうしかないと思いました!

ちなみに最後のピッチへのコールは子猫さんだといいな、なんて。事後隠蔽中に子猫さん資料室乱入で僕かて心配しとったのにお二人さんは仕事もほうたらかしてナニしてはったんです?仕事舐めとんのかゴラァ!って怒られればいい。勝呂くんにセクハラしてたのは私ですごめんなさいうわ志摩家何をするやめろ