坊お誕生日おめでとうございますぺろぺろ! | ナノ














 ああまたこの季節がやってきたのか、と襖を開けた瞬間感じた疲労感と照れ臭さに頭を抱えた。
「坊、お誕生日おめでとうございます!」
 8月20日、今日は俺の誕生日だ。
 あーもう毎年こない豪勢に祝わんでもええ言うてるやろ?と唸れば、はいはい照れ隠しはええですからえんとしてくださいと廊下に立ったまま動かない俺を金造が部屋の中へと押し入れる。坊、おめでとうございますと四方八方から祝いの言葉を述べられてどうにも擽ったい。祝ってもらえるのは嬉しいのだが、この気恥ずかしさにはなかなか慣れない。1番奥の一つ空いた上座へ誘導され腰を下ろせば、机の上に並んだ食事がずいと眼前に寄せられる。
「たんと召し上がれ!」
 僕もお手伝いさせてもろたんです〜と子猫丸が取り皿片手に笑う。おおきにと取り分けてもらった食事を受け取れば、おめでとうございますと改めて言われて何度も言わんでええわと吠えながら子猫丸の背を軽く叩いた。痛いですよ坊〜!と子猫丸が背中を反らせて歯を見せる。笑いながら食事を口へ運べば、隣から3つの包みが差し出された。ああこれは最早毎年恒例である。眉間に皺を寄せてその方向を見遣れば、志摩と柔造、金造が同じような顔をしてニコニコこちらを見ている。
「はい坊!おめでとうございます!」
「今年のプレゼントはちょお気合い入ってますわ!期待して下さい!」
「坊また同い年ですね!大丈夫です汚れとらんの選びはったんで安心してください」
 志摩に至っては問題外なプレゼントであるのが見え見えである。これまたおおきにと受け取ると、とりあえず志摩の頭は殴っておく。ぞえええと奇声を発したピンク頭をスルーして近付いていた八百造へと視線を向ければ、今日何度目かわからない祝いの言葉におおきにと歯を見せて笑った。

 大勢の家族に祝われて、俺はまた一つ歳を重ねた。丁寧に飾られた砂糖菓子を囲むように真っ白なケーキに立てられた蝋燭が律儀に歳の数だけ立っているのがやけに嬉しかったのは、俺がまだ餓鬼だからだろうか。それとも。














30分で書き上げた。なんかよくわかんないし背景がめちゃくちゃである。坊お誕生日おめでとう!(110820)