「うわぁー。また今年も雨か…」
今日は七夕。また今年も雨で…これじゃあ、織姫様と彦星様は今年も会えないままじゃん。
「神様って、意地悪ーっ」 「何がですか」 「うわ、コーマ」
独り言を聞かれていたかと思ったら、何だか急に恥ずかしくなってきた。
「あぁ、今日は七夕でしたね」
ベランダの笹を見ながらコーマは言った。そして、そういえば、と続ける。
「雨だからって、あの二人は会えないわけじゃないんですよ?」 「え?そうなの?」 「えぇ。むしろ、雨とかの方が良かったりするかも知れませんね」
えーっ、と叫びそうだった。何で何でっ!?
「雲が隠してくれるから、二人でもっとアレなコトまで出来るんですよ」 「あーあ、なんか納得。そっか、雲の上は星が出てるんだっけ」
変なことをよく知ってるコーマに関心しながら、ちょっとずれた返答を返す。それだと、お邪魔しちゃいけないね。
「…で、貴方の願いは?」 「えーっと、織姫様と彦星様みたいに、コーマと、ずっとずっと一緒に居る」 「二人は離されちゃいますけど…貴方が俺をずっと愛してくれるのなら、余裕ですね」 「馬鹿。当たり前だよ」
ギュッとコーマに抱き着く。あぁ、幸せだななんて、思ってみたり。 あぁそうだ。ねぇ、神様?ちゃんとやることやるから、俺達のことは絶対に引き離さないでね?
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