俺達、マスターランクのキャプテン四人には、マンションの一部屋が与えられている。四人が生活するには申し分ない広さで、4LDKだ。これも父さんが用意してくれた。まぁ、そんなところに住んでいる俺達だが、基本は四人でリビングに集っている。
「バーン。バーンっ!バーンっっっ!!」
今日は何となく、いつもよりおまけして呼んで見る。まぁ、抱き締めてるから、叫ぶ必要も特にはないんだけど…。
「やめろよ。連呼すんな、えいりあねーむ」 「効果音だから?」 「っるせぇな…。で?何だよ」
ぷっと吹き出しながら俺が言うと、ソファー越しに大人しく、俺の腕に収まっているバーンは鬱陶しげに俺に聞いた。
「うん。バーン、可愛いって、言おうと思って…」 「だから…何?」 「うへへ。バーンの唇、奪ったりーっ!!」
そう言って後ろを向いた瞬間に俺はバーンにキスを……
「んにゃっ!?…「やめーいっ!」
しようとしたところで、グランにバーンから引き剥がされてしまった。『兄さんはそんな子に育てた覚えはありませんっ!!』とかブツブツ呟きながら、ずりずりと俺を引きずって、バーンから遠ざける。あぁ、バーンっ!!
「何だよ、グラン。いいとこなんだから、邪魔すんなよー…」 「えいりあねーむー?…夕飯、グラタン作んないよ?」 「すんません」
黒い笑いを浮かべたグランに俺は反射的に土下座した。そんな俺の姿を見たグランは近くにあったエプロンを手に取って着始める。
「分かれば結構。はぁ、円堂君、円堂君、円堂君、ハァハァ」
ハァハァ言いながら、三角巾を巻いてキッチンの方へ消えて行った。あんなこと言いながらも、グランのグラタンは美味いんだよな…。
「えいりあねーむ、そこで何してる?」
グランが行ったのを確認して、急いでバーンの隣に戻ると、またまた俺達の邪魔をしようとする奴が現れた。ムッと顔をしかめて言ったガゼルに、俺はバーンをギュッと抱き寄せて答える。
「残念。バーンは俺のだから☆」 「へぇ、そんなこと言っていいの?」
俺が黒い笑いに弱いのを知ってか、ガゼルが黒い笑みを浮かべて言って来たが、俺は負けずに、さらにギュッとバーンを抱き締めてガゼルに言う。俺、頑張る。
「うん。な、バーン♪」 「…………グラン。えいりあねーむはグラタン要らないそうだ」 「そう?りょうk「ちょっと待てぇぇぇぇぇぇぇ!俺の…俺のグラタンっ!!すいませんでした、ガゼル様!」
頑張った俺の返事に、ガゼルはキッチンに居るグランに聞こえるように言った。扉を開けて了解しようとしたグランの言葉を俺は慌てて止めて、ガゼルに土下座。あーあ、本日二回目の土下座だよ。どんだけ腰が低いのよ、俺。でも、土下座しながらも、しかぁしっ!!と続けた。
「バーンだけは譲ることは出来ません!どうか、バーンだけは俺に下さい、ガゼル様ぁっ!」 「へぇ…まだ、言うのか?」
どこからか持ち出してきた鞭を片手に、ピシャリと言い放つ。さすが、氷の女王様。鞭が似合いますね…。
「取り込み中…悪いんだけど…」
ジリジリと睨みを聞かせている俺達に迷ったような声音でバーンが話し掛けてきた。可愛いよ、バーン。何?俺と結婚したい?いいよ、いいよ。いつでもいいよ! ……しかし、次にバーンから発せられた言葉は考えたくないものだった。
「俺、今からヒートに街の時計の下に呼ばれてるから。行く、から…」 「「……ヒートぉぉっ!?」」
珍しくガゼルとハモる。それから、撃沈。何?ヒートだと?あいつは幼なじみだからって俺のバーンに近づきやがってぇぇぇ!ちらりと隣を見ると、ガゼルも同じようなことになっていた。まぁ、ガゼルの場合、態度に出さずとも完璧に表情に出てしまっている。さーて、サッカーボールでも持って、いっちょ暴れに行きますかな?
1vs1vs1→2vs1
(ガゼル、行くぞ) (珍しく気が合うな、えいりあねーむ)
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ギャグが書きたかったんです。 バーンが鈍い! 鈍いよ、バーン! しかも、落ちが主人公ではなく、ヒート
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