「ガゼルーっ!!」
遠くに愛しのガゼルの姿が見えて、俺は叫びながら、ガゼルの近くまで走った。
「えいりあねーむ」
俺は父さんに、マスターランクの一人に選ばれた。が、自分の好きなサッカーが出来ない気がしてその座を辞退した。そんなこともあって、俺はえいりあねーむ、という名前が嫌いだ。
「…その名前で呼ぶな」 「で、用事、何?」 「いや、特にはないけど、ガゼルに会いたかったから」 「……そうか。わっ!!」
キューとガゼルにくっついた。離したくない。実は、マスターランクに入ることを辞退したことで、父さんに見捨てられた。自分の意思で、今日、ここを離れようと思う。心残りは、大好きな…ガゼル。何かもう、全てが嫌だ。
「ガゼル…もう、嫌だ。全部が」 「どうしたんだ?」 「ねぇ。俺のこと、名前で呼んで」 「……えいりあねーむ」
ガゼルは俺を疑問の目で見ながら、“偽名”で呼んだ。
「違う。それじゃない」 「…………なまえ…?」 「そう。そっち」
照れ臭そうに俺の名前を呼んでくれる。駄目だ、心が揺らぐ。
「でも、何でそんなにあの名前を嫌うんだ?」 「俺じゃないから」 「簡潔だな」 「だって、何だかコードネームみたいだろう?」
俺がガゼルの問いに即答で答えると、ガゼルは少しだけ微笑みながらも、きっぱりと俺の意見に反論する。
「私は、そうは思わない」 「何で?」 「父さんに貰ったんだ。大切にしなければ…」 「ガゼル、自由になれよ」 「なまえ…?」
ガゼルをしっかりと見つめて、真面目に言った。やっぱり、俺は今日ここを去ろう。“自由”になりたい。
「俺は少なくともみょうじ なまえで居られる間は自由だから。純粋にサッカーが大好きな俺になれる」 「私には、そんな資格はない」 「いや、ガゼルが俺のものでいる間は…俺が全て許可する」 「…なまえ」
ギュッと強く抱き締めながら力強く俺が言うと、ガゼルは俺に身を任せてきた。これが…最後だ。
「ガゼル、父さんが呼んでる」
いいところで、バーンがガゼルを呼びに来る。…俺はお呼びじゃない、か。不思議と悲しさの欠片もなかった。
「行きたくない」 「駄目だ」 「でも……」 「ほら、もう少しで“自由”になれるから」
珍しく駄々を捏ねるガゼルの手を握り、耳打ちする。きっと、この戦いも、もう少しで終わるよ。もうちょっと、だから…。
「…分かった。行ってきます、なまえ」 「行ってらっしゃい」
そして、さようなら。俺は何も知らないガゼルの背中を見えなくなるまで見つめていた。
「俺は、何があってもみょうじ なまえだ」
俺はそう呟いてその場を後にした。
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初書きで、シリアスですと…。 シリアスなんて、滅多に書きませんが、最近、心が病んでます。
すいませーん。 捏造いろいろごめんなさい。
では、最後まで読んで下さった、えいりあねーむさん……いえ、なまえさん。ありがとうございました☆
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