部活も終わり、帰る直前。部室には有人と二人。俺は以前から気になっていたことを聞こうと思い、口を開いた。
「有人、」 「何だ、なまえ?」 「有人は好きな人とか居ないの?」 「何だ?お前はいきなり…」 「いや、俺は真面目に聞いてるんだけど…」
危うく笑い飛ばされそうになる。有人の場合、笑い飛ばすと言うよりかは、スルーと言った方がいいかも知れない。俺が真面目に言うと、有人はそれを察したらしく。んー、と考え込み始めた。
「うーん…。居る……な…」 「だよねぇ。やっぱり、って…え?ちょ、有人!?」
予想外だ。驚いた。
「何だ、お前は…」 「だって……そ、総帥とか言うなよ」 「お前は馬鹿か」 「有人なら言いそうだろ」 「阿呆」
本当に総帥とか言い出しそうだ。やめてくれよ、あんなショタコン。気を取り直して、ずいっと有人に詰め寄ると、有人は頬をほんのり赤く染めた。
「で、誰?」 「や、えっと、なまえは…?」 「何だよ。俺?俺は……有人が、好き」 「何だ。お前、冗談だろう」 「失礼な。俺は本気だ」 「証拠は?」
じっと有人の目を見つめると、半笑いだった有人は真面目な顔になり、赤くなる。
「止めとけよ。止まらなくなるから」
俺はふっと笑って、長いベンチに座っていた有人の上に半乗りになって、壁に押し付けた。
「本気か?」 「もちろんだ。だって、有人も……」 「言わなくていい」
俺に押さえられながら、ムッとした表情で言われても、いつもの有人の凄味がない。
「素直じゃないな、有人は」
ふぅと小さく息を吐いて、拘束していた手を離した。ほっとして、少し上を向いた有人の額にキスを落とした。
「ごちそうさま」 「なっ!?」
俺はそう言うと、さっと有人から身を退く。顔を真っ赤にして、硬直したままの有人があまりにも可愛いから。
「続きはまた今度ね」 「無くてもいい」 「あってもいいんだ」 「……っ!」
ニヤリと笑って、有人の揚げ足をとってから、部室を後にした。これ以上、有人と一緒に居たらまずいな……。でも、本当に、素直じゃないんだから、有人は。
不器用な恋事情
(源田、) (ん?) (みょうじと鬼道さんが) (勝手にさせておけ)
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うわ。 夢でここまで行ったのは初めてです。 相変わらず、甘いですよ。
それでは、最後までお読み下さった、なまえさん、ありがとうございました!
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