俺は電光石火の如く、有人を見つけると飛び付いた。
「ゆーとっ!」 「なっ…なまえ!?」 「んふふー、会いたかったよ。有人」 「あ、なまえ!俺の鬼道さんにっ」
有人にぎゅうぎゅう抱き付いてると、次郎に見つかった。まぁ、部活前の昇降口のど真ん中で抱き付いてるとわけで、さっきさら、サッカー部の奴も何人か見たわけで、次郎に見つかってもそんなに驚く事じゃない。そして、わぁわぁと喚いてる次郎に一言。
「安心しろ、次郎。有人は俺が幸せにする」
ビシッとキメた。たぶん、キラキラと星が舞ってたり、花が咲いてたりしたと思う。
「何ぃっ!?駄目だっ!」
ぐいーっと有人を引っ張られて持って行かれそうになる。が、俺も男だ。そう簡単に持って行かれるわけには行かない。ひしっと有人を抱き締める。
「おいおい、お前ら」
幸次郎だ。もうユニフォームで登場。幸次郎はやれやれとため息をつくと、続けて言った。
「練習しないで、鬼道争奪戦をするんじゃない。とりあえず、お前達の練習が終わるまで、鬼道は俺が預かる」 「………………」
いや、まだ練習始まって無いでしょ。ツッコもうと思ったが、有人が俺達を振り払って幸次郎のところに行ってしまった。そして、次郎がアイコンタクトしてきた。
「(なまえ、)」 「(何だ、次郎)」 「(源田に鬼道さんが…)」
「(有人は幸次郎を救世主だと思ってるから…見ろよ、有人の安心しきった表情)」
ちらりと有人を見ると、お得意の不敵な笑みを浮かべてきた。全く、俺に抱き締められてる間は顔を真っ赤にしてたのに。可愛い奴だ。
「(源田に負けた…)」 「何だ、なまえ、佐久間。何か言いたそうだな」
次郎が嘆くと幸次郎がフフンと笑いながら俺達に言った。
「「別に…何にも」」 「じゃあ、練習な」 「「……はーい」」
次郎と俺がそろって言うと、幸次郎と有人は行ってしまった。あーあ…………。
一番の強敵
(次郎、幸次郎の弟子に、俺は成る!)
(海●王に俺はなる、の勢いで言うな、なまえ)
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