あぁ、何で今、こんなことに…。
今日はせっかく楽しみにしていた、グランとのデートなはずなのに、電車は人身事故で遅れて、今は仕方なく満員電車に押し込まれている状態だ。

「うわっ…ごめん、コーマ」
「おっと、大丈夫ですか?」

こちらによろけてきたグランをしっかりと抱き締めると、俺たちを見ていた何人かが顔を背けた。あ、これなら…

「グラン」
「ん?何?…っ!!」

抱き締められたまま上を向いたグランの額にキスを落とすと、良いタイミングで2、3人の女子のきゃっと言う声が聞こえた。俺たちを見ていたのか、そうじゃないのか。見ていたとしたら、それが気持ち悪いという意味なのか、そういうのが好きな…属に言う“腐女子”と呼ばれる人の“いいもの見た!”的な意味なのかは分からない。そもそも、そんなのはどうでもいい。
俺はただ、腕の中で顔を耳まで赤くして、恥ずかしそうに俯くグランの傍に、ずっとずっと居られれば、それで充分ですから。


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