つ、と暖かいものが頬をなぞった。
星を見る度、彼を思い出す。俺のおおもとの人。姉さんの兄さん。父さんの息子。似て非なる、俺と同じ名前の彼を。
何故それで涙が流れるのかは分からない。
父さんが俺に彼の影を重ねるから?
―違う。

自分は彼には近づけないから?
―それも違う。

彼には会うこともできないから?
―違う違う。そうでもない。

「じゃあ、一体、何故」

冷たい風に涙が乾く。

自分ばかり逃げて何なの?会ったこともない、俺がそんなに憎いのかい?

―嗚呼、憎い。一人で逃げた、君が憎い。

逝ってしまうのなら、俺にこんな大役を残していかないでよ。

「戻って、来て…」

空に訴えかけるように呟くと、乾いたはずの涙が再び流れ出した。
ヒュ、と無駄に冷たい風が凍えた身体に容赦なく吹き付ける。

「吉良、ヒロト」

彼の名前を震える声で呼んだ。それは彼の名前であり、俺ではない。

「基山ヒロト」

今度は、自分に言い聞かせるように言った。
また、冷たい風が強く吹き付けた。


**********

吉良基山ですよ!
いや、詳しくは、吉良←基山ですが。
初めて書きましたが、好きです。
基山くんが吉良くんを憎んでるといい。



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