円←ヒロ



遠い…。俺には、やっぱり、彼の背中しか見えない。彼まで届くバベルの塔を創ったら、彼に届くだろうか。でも、彼にはそんなことをしたって届くはずがない。
ねぇ、何で同じものが好きなはずなのに、何でこんなにも遠いの?…ねぇ、どうして?

「あれ?……ヒロト?」
「円堂、くん…」

校舎の裏で縮こまる俺に、円堂くんはどうした?と首を傾げる。自惚れかも知れないけど、すごく俺を心配してくれているようだった。

「顔色悪いぞ?いつもより、白い」
「うん。ちょっと、考え事してて。…大丈夫だから」

質問に対しての返答が可笑しいけれど、この時、俺はさっさとこの場を去りたい気持ちでいっぱいだった。しかし、それは円堂くんの腕に阻まれてしまう。

「無理は、しないでくれ。大切な…チームメイトだから」
「…うん」

チームメイト以上のことを望んではいけないと思っても、つい、それ以上を望んでしまう。手を伸ばしても届かない彼に抱いたのは憧れとは違う、恋。届かないとわかっているのに、何故?何で?

「ごめん。大好き」

ガクンと膝から崩れ落ちると、茶色の土と緑色の芝生しか、見えない。
俺にはもう、太陽を眺めることすら出来ないのだろうか。


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ヒロトー…。
片想いって、美味しいと思う、今日この頃。



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