円←ヒロ
遠い…。俺には、やっぱり、彼の背中しか見えない。彼まで届くバベルの塔を創ったら、彼に届くだろうか。でも、彼にはそんなことをしたって届くはずがない。 ねぇ、何で同じものが好きなはずなのに、何でこんなにも遠いの?…ねぇ、どうして?
「あれ?……ヒロト?」 「円堂、くん…」
校舎の裏で縮こまる俺に、円堂くんはどうした?と首を傾げる。自惚れかも知れないけど、すごく俺を心配してくれているようだった。
「顔色悪いぞ?いつもより、白い」 「うん。ちょっと、考え事してて。…大丈夫だから」
質問に対しての返答が可笑しいけれど、この時、俺はさっさとこの場を去りたい気持ちでいっぱいだった。しかし、それは円堂くんの腕に阻まれてしまう。
「無理は、しないでくれ。大切な…チームメイトだから」 「…うん」
チームメイト以上のことを望んではいけないと思っても、つい、それ以上を望んでしまう。手を伸ばしても届かない彼に抱いたのは憧れとは違う、恋。届かないとわかっているのに、何故?何で?
「ごめん。大好き」
ガクンと膝から崩れ落ちると、茶色の土と緑色の芝生しか、見えない。 俺にはもう、太陽を眺めることすら出来ないのだろうか。
***********
ヒロトー…。 片想いって、美味しいと思う、今日この頃。
|