※死ネタ注意 閲覧は自己責任です 気分を害しても、 管理人は責任を取りません
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朝、ぼーっとした頭を起こすと、ちょうど円堂くんが俺の部屋に飛び込んできた。
「どうしたの?円堂くん」 「ヒロト…。あんまり良くない知らせなんだけど…」
珍しく暗い声音で言われて、思わず身構える。朝から、どうしたの?良くない知らせって、何?
「何?」 「その、ジェネシス…ガイアのコーマが「コーマがどうしたのっ!?」
2、3歩部屋の中に入ってきたところで、固まってしまっている、円堂くんに物凄い勢いで詰めよってしまう。コーマも代表に選ばれた?でも、彼のプレーならあるかも知れない。それなら、暗い顔をしなくても…。
「コーマが」 「うん、何?」 「居なくなったらしい」
ガクッと崩れ落ちそうになるのを、やっとの思いで堪えて、黙り込んだ円堂くんに声をかける。
「ちょっと、行ってくる」
小声で、もう帰らないかも、と付け足して、急いで走り出した。俺に迷いは何一つない。彼が行くとしたら、彼処だ。 ―富士の樹海だ…。
――
「馬鹿コーマ。こんなとこに一人で」 「あららー、見つかっちゃいましたか?」 この場に似合わない、明るい声でコーマは笑った。
「こんなところまで、どうやって来たんですか?」
そんな場合じゃないでしょ、とか思いながらも、タクシーと歩き、と簡潔に答える。 樹海の入り口付近、星の使徒跡地。中学生が二人、こんなところに寄り添って立っている。 可笑しい、狂ってる、… でも、コーマと一緒なら何でも構わない。
「どうにでもしていいよ?コーマ」 「何を言い出すのですか」 「ははっ…死ぬつもりでしょう?一緒に逝こうよ」 「情死なんて、馬鹿げてます」
狂気に堕ちた俺の思考は、どこまでもコーマと供に居ることだけを求める。情死だろうが、なんだろうが、コーマと一緒に居られるなら、本当に何でもする。
「馬鹿げてる、って言っても、情死する気だったでしょ?」
だから、わざわざ円堂くんに辛い思いさせて…と、笑ってみせる。ちゃんと笑えていたかは…分からない。
「まぁ、先に貴方を刺して、その後に逝こうかな…なぁんて」 「…一緒に逝きたいじゃん」 「そう言われるだろうと思ってました」
そう呟いて、コーマはポケットからナイフを二本取り出して、片方を俺に手渡した。 嗚呼、本当に……
「死ねる?」 「この世に未練は?」 「コーマと一緒なら、何にもないよ」 「それなら、いいですか?」 「あ、コーマ」 「はい」 「大好き」 「えぇ、愛してます」
狂気に堕ちた二人は、互いの“ココロ”にナイフを突き刺す。
後に残ったのは、赤から黒へと変色する血痕と、幸せそうな表情で、しっかりと抱き合ったまま離れない、二人の亡骸だけだった…。
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