「晴矢」 「ん、う゛」
呼ばれて振り向けば、むにっと風介の指が俺の頬にささる。痛いとばかりに俺が頬を押さえれば、風介はふっと吹き出した。
「馬鹿だな」 「呼ばれたら、普通は振り返るだろ」
ムッとしたまま言うと、もう一度むにっと頬をさされる。風介の細い指は無駄にくい込んで痛い。やめろ、と小さく呟いて指を掴むと、風介は俺に掴まれた指をやわやわと動かした。
「何だよ」 「別に」
ふいっとそっぽを向いてしまった風介の頬を両手でむにっと挟んで、目が合うようにしてやる。だけど、自分が何を言おうとしていたのか、忘れてしまった。
「えっと、何だ?そのー…だから、」 「…ゆっくりでいいぞ」 「誰のせいでこうなってると思ってんだよ!」
きしゃーっと効果音が付きそうな勢いで、俺は風介に抗議する。あぁ、俺はこのやりとりが、いつも通りで好きだ―。頬が緩む。
「だから…俺は、」 「言わないと分からないだろ」 「…風介が、好き…だっての」
風介は俺を無言で抱き締めた。全く、言わないと分からないだろ、って言ったのは誰だよ。呆れたようなため息をついて、俺も風介の背中に手を回した。
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何がしたかったのか、はいつものことなので。文才無いのもいつものことなので。 いや、とにかく涼南が書きたかったんです。というか、晴矢くんに好きって言わせたかったがための、文です。
あぁ、もう、ほんとさーせん。
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