※男主夢
















「こーじろー」
「お、何だ?」

そう言って、幸次郎はギューっと抱き付いた俺の頭を撫でてくれる。あーあ、恋愛対象じゃないんだなーとか、泣きそうになりつつも、きゅーっとくっついた。

「お前、何かあったか?」

心を見透かされたようで怖かった。だから、目を合わせず、別に…と素っ気なく答える。すると幸次郎は、あのな、と諭すように俺に話しかける。

「お前が何を隠しててもいいんだけど、一人で抱え込むなよ。そのための仲間だ」

な?と笑った幸次郎の笑顔が眩しくて、素敵だなぁ、と思った。
みんなの力に俺だけが付いていけてないことが不安で不安で仕方ない。みんなみたいに、強力な技があるわけでも無ければ、有人みたいに、ゲームメイクできるわけでもない。まさに、帝国のお荷物だ。だから、たまに…いや、いつも幸次郎に抱き付きたくなる。

「ありがとう、幸次郎」
「どういたしまして。まぁ、また何かあったら言えよ?」
「分かった」

幸次郎から離れてコクンと頷いた。幸次郎は帝国のお母さんみたい。優しくて、温かくて。だから無意識で、手を振って去って行こうとする幸次郎を後ろから抱き締めた。

「…何だ?」
「俺さ、幸次郎のこと、好きだ」

詰まりながら言った声は震えていた。我ながら、情けない奴だなぁ、と思う。それに、きっと幸次郎から返ってくる返事は、俺が望んでる“好き”じゃないことも、分かってる。

「俺も好きだよ。嫌いなわけないだろ」

ほら、やっぱり。俺の望んでる好きじゃなかった。俺の思う好きは、恋愛的なもの。幸次郎の言ってるのは、たぶん、家族とか兄弟とか、仲間とかに対しての好き。
どんなに伝えたくても、今はまだ伝えない。……じゃなくて、伝えられない。だってきっと、幸次郎は分かってくれないから。
秘密のことだって、あっていいだろう?だって、誰にでも隠し事くらいあるのだから。
俺は、幸次郎の背中に顔を埋めながら、そう考えた。


誰にだって隠し事位あるんだ


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企画お題サイト『僕から君へ』様提出物です。
素敵なお題なのに、無理矢理結び付けた感が何とも…ごめんなさい(泣)

それでは、素敵企画に参加させていただき、ありがとうございました!


夢想パラノイア:ロイズ

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