「コーマっ」
「何ですか?」

急に飛び付かれたものの、特に驚くことはせずに俺はグランに冷静に返事をする。当然グランは、つまらない、と呟いて頬を膨らませる。でも、グランは用件を思い出したのか、もう一度勢いよく俺に飛び付いた。

「見て見てっ!」

そう言ったグランの手には某テーマパークのチケットが二枚握られていた。姉さんがくれたんだよ、と嬉しそうに言ってくるグランは本当に楽しそうで、こっちもつられて笑顔になってしまう。

「それで、俺にどうしろと?」
「一緒に行こうよ!」

少し思ってはいたが、本当に行こうと言い出すとは思わなかった。実は、俺は人混みが苦手だ。絶叫マシンとかの類は大好きだが、どうしても人混みだけは好きになれない。きっと、グランはそれも承知で俺を誘っているのだろう。

「俺が人混み苦手なの、知ってますよね?」
「知ってるけど…一緒に行きたい。でも、いいよ?コーマが一緒に行ってくれないなら、別の人と行くから」

その言葉にかなりムカッときた。グランが俺以外の奴と一緒に居ることでさえ許せないのに、どこかに行くなんて、俺がどうなるかわからない。…だから、グッと眉間にシワを寄せて言った。

「わかりました、行きますよ。でも、もし貴方の方からすっぽかしたりしたら…どうなるか、分かってますよね?」

ニヤリと笑いながら言うと、グランはゴクンと生唾を飲み込む。じりっとにじりよると、びくっと身体をすくませる。そんな姿も可愛いな、なんて思いつつ、今度は穏やかな笑顔になるようにして言った。

「……冗談ですよ」

そうならなければの話ですが、と心の中だけで付け足す。ふっと無防備な安堵の表情になったグランを抱き締めると、グランも俺の背中に腕を回した。

貴方が俺から離れるようなことがあった場合には、本当に俺は何をするかわかりませんよ。
冗談だと、信じてますが…。



……冗談ですよ

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コーマ…私の中でぶれてきた気がします
いろいろすんません。

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