ぼーっとしながら、雷門中の屋上に寝転んでいると、気持ちのよい風がふわっと吹いた。なんだか春っぽいなぁ、と思う。そろそろ練習に戻らなくちゃいけないな、なんて思いながらも立ち上がる気がおきずにそのままになっていると、どこからか、風に乗って花びらが飛んできた。

「桜の花びらだ…」

―桜は散るから美しいんです
二人でお花見に行ったときに、そうコーマが教えてくれた。
―でも、それは桜限定なんですよ
そうとも言っていた。何で今、思い出したのかは分からないけれど、なんとなく寂しくなってきた。

「さぁ、行こうか」

誰に言うわけでもなく、寂しさを紛らわすために言ってみた。ゆっくりと体を起こしてから、さっきの桜の花びらを吹いて飛ばす。俺の想いも乗せて、この花びらがコーマに届くように、って願いながら…。



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