「恭馬、」 「はい?」 「俺、結婚するんだ」
俺がそう言うと、恭馬が声もなく崩れ落ちた。 あー、面白い。今日はエイプリルフール。イベントには詳しい恭馬が気付かないなんて、もしかしたら、あまりのショックで忘れてしまっているのかもしれない。あー、面白い。
「俺、円堂くんと結婚することにしたんだ。俺も円堂くんのこと、嫌いじゃないし、円堂くんは俺のこと、好きだって言ってくれた。だから、そう決めたんだ。もちろん、恭馬のことも大好きだよ?だけど…」
「…………ですか…」 「え?」 「俺じゃ、駄目なんですかっ?」
恭馬は叫ぶように言って、俺を抱き締めた。
「俺は、誰よりも、この宇宙に存在する全てのものの中で、一番ヒロトを愛していますし、ヒロトを幸せに出来る自信があります」
そこで恭馬は一旦言葉を切る。
「俺は、やっぱりヒロトを愛しています」
これ以上無いくらいにきつく抱き締められて、いろんな意味で苦しくなる。でも、正直言うと、すごく嬉しい。恭馬は俺のことをこんなに想ってくれている。
「恭馬…ごめん」 「いいですよ。俺がヒロトを奪いに行きます。俺から離れないようにします」 「いや、そうじゃなくて…」
俺はつい、すごくかっこいいけど、ちょっと的外れなことを言った恭馬に笑ってしまう。謝らなきゃな…さすがに、やり過ぎたかも。
「ごめん。今日、エイプリルフール…」 「あ……」
気付いたらしく、恭馬は笑い出した。
「はぁ、よかった…まさか、とは思いましたけどね…」 「だって、この年で結婚なんて…しかも、恭馬以外の人と結婚なんて考えられないよ」 「当たり前です」
いつもより優しく微笑む恭馬を見つめ返して、そしてどちらからともなく口付けた。 たまには、こんなことも悪くない。でも、俺は恭馬以外の隣でウェディングドレスを着るつもりはない。それに、黒馬に乗った騎士が迎えに来てくれる。これは、一生変わらない真実。
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私も遊びました、エイプリルフールです きっと奴らはこんなんだ、とか思いながらガリガリ いつでもどこでもいちゃこらいちゃこら そんなお前らが好きだ
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