見上げた青い空には白い雲が一つ、ぽっかりと浮かんでいた。ぐーんと腕を伸ばしたら、隣にいたマックスも同じことをしている。
「真くんと、おんなじことしてた」 「だって、届く気がしたんだもん」 「わかる、わかる」
そう言って笑ったマックスは伸ばしたままだった、オレの右手を繋ぎとった。フワリと吹いた風は、ほんのり春の匂いがする。
「もう春だねー」 「そうだね。あ、そういえば、真くんは去年の約束覚えてる?」 「約束?」
オレが首を傾げると、マックスは大きく頷いた。たしか、去年は…桜が満開じゃなくて拗ねてた気がする。
「…来年も、一緒に居ようね?」 「それそれ」
嬉しそうに笑ったマックスは、オレの手を握る力を強めて、続けて言った。
「真くんが忘れてたら、どうしようかと思った」 「でもさぁ、早いよねー。もう一年経ったんだよ?」
いろいろあったよねー、と二人で自嘲気味に笑う。まぁ、なんだかんだ言っても、こうして今年もまた、一緒に居られたのだから、結果オーライだと思ってしまった。「何でもいいけど、今年は平和に過ごしたい」 「でも、あのキャプテンに付いて行くんだとね…」
円堂の熱血な姿を思い出して、思わず苦笑い。でも、とにかくオレは、また来年もマックスと一緒に居られたら、十分。だから…
「また、来年も一緒にね?」 「もちろん」
にっこりと微笑むマックスの手を握って、再び歩き出す。
今年の桜の開花は… まだ、もう少し先。
***********
久々の松半ついでに、最初のほうのネタを引っ張り出してきました。
甘いのを書いたのも久しぶりな気がしてならんです。
|