この前、舞踏会に来ていた素敵な騎士様。彼は少し独特なステップをしていた。優雅だけれど、力強くて。しっかりしているけれど、軽くて。本当に素敵な騎士様。
今日も彼が来ていないか、何てステップを踏む足だけ見ている。
違う。あれも違う。違う、違う、違う――。彼じゃない。
ドレスを引きずって、下ばかり見ながら歩いていると、誰かにぶつかってしまった。
「ごめんなさ……あ」
「お怪我はありませんか?」
ニコリと笑う口元は捜していた彼のものだった。
「誰かお捜しだったようですね」
彼は、見つかりましたか?と悪戯っぽく笑った。
「えぇ、おかげさまで」
そう笑い返すと、彼は表情を変えずに、その場に跪いた。
「今宵も一曲どうでしょう」
「もちろん、喜んで」
美しいワルツに合わせて踏まれるステップは、紛れもなく彼のものだった。
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うん
スーパー通常運転実施中