「…恭馬」
「あ、聖…何ですかー?」

恭馬はにこりと笑って振り返った。その笑顔にときめいた…いや、違う…はずは、残念ながらなさそうだ。きゅんとしたことは言い訳できない。

「いや、あの…そのー…」
「もしかして、俺に会いたかった…とかですか?」
「なっ…!?」

自分でもわかるくらい、一気に顔に熱が集まる。当の本人…恭馬は、なぁんて、とか言って、一人でケラケラ笑っている。コイツは、一度心を許した相手には、惜しげもなくコロコロと変わる表情を見せる。しかし、心を許すまでに時間がかかるのだが…。

「どうしたんですか?」
「恭馬、」
「……ッ!?」

俺がぼーっとしているところを、下から恭馬が覗き込んできた。心配そうに俺を見る、その仕草があまりにも可愛らしくて、恭馬をぎゅうっと抱き締めてしまった。

「あ、ごめ…ん…。……恭馬?」

俺の背中にまわされた腕にぎゅっと力が込められた。

「俺が、聖に会いたかったんです。それに、聖はあまり俺を抱き締めたり、俺に触れたりしてくれないでしょう?だから、今…すっごく嬉しくて」

俺が恭馬に必要以上に触れたりしないのは、恭馬に“触れる”以上のものを求めてしまいそうだから。好きで好きで仕方ないのに、俺と恭馬が互いに想い合っていると知っている上で、抱き締める以上のことをしないのは、恭馬のことになると歯止めがきかない自分が怖いから、ということもある。

「俺は…いいですよ?聖とキスしたり、その先までいってもいいです。聖が欲しくてたまらないのは、俺だけですか?」

珍しく自分の意見をここまで言う恭馬に一瞬俺はたじろいだ。しかし、今俺の腕の中に居る恭馬が、本気だということに気がついた。俺はゆっくりと恭馬を離す。

「聖っ……っん!?」

俺が離したことで不安を感じたのか、恭馬は直ぐに俺を呼んで、何か言おうとしていたが、それは塞いでやった。
やっぱり、俺は恭馬が好きなのか…
必死にしがみついてくる恭馬の背中を、俺は優しく撫でた。


******

きよきよコンビのイメージは
スロージャズ+ガトーショコラ+ブラックコーヒー
…で、薄暗い喫茶店な感じ
要するに、渋い大人な感じなんだ


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