「あーあ、リップ忘れた」
ヒロトがひととおり自分のポケットを探し終えてから、俺に言った。でも、正直俺にしてあげられることは…あぁ。
「舐めてあげましょうか?」 「いや、それの準備に必要」 「は?」
やだなぁ、と言ってヒロトは自分の唇を舐める。前段階って…
「だって、恭馬。俺とちゅーしたときに、俺の唇がガサガサだったら、嫌でしょ?だから、いつも俺はリップ常備なわけ」
その可愛らしい返答を聞いて、俺は吹き出した。珍しく大爆笑をしている俺を見て、ヒロトはきょとんとしている。
「俺がそんなこと、気にすると思いますか?」 「嫌だもん。恭馬に嫌われたら」
ムスッとしたヒロトをぐいっと抱き締めた。
「俺がヒロトを嫌いになるなんてこと、あるわけないでしょう。リップが無くても、俺が舐めてあげますよ」 「あーもうっ…恭馬には勝てないよ」 「勝とうと思うことが間違いです」 「うー…じゃあ、舐めてよ」 「…………」 「何、考えたの?」 「気のせいです。そっちはまた後で」 「やっぱりぃ…もう」 「ヒロト、」 「ん?」 「愛してます」 「…馬鹿」
ぎゅうっとヒロトを抱き締めて、キスをする。今日はいつもよりも多めに唇を舐めた。
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友人に見せたら、 甘すぎて砂糖吐くなんてもんじゃない と言われました
バカップルなのよ、うちの恭ヒロは
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