「あ、円堂くん!ちょうどいいところに」

そう言ったヒロトに、ポンっと肩を叩かれた。何がちょうどいいのかわからないまま、宿舎の食堂までつれて来られる。

「何だ?」
「円堂くん、甘いもの好き?」
「好き、だけど…?」
「よかったぁ…今ね、アップルパイ焼いたんだけど、宿舎に誰も居なくて…」

オーブンから出された、きらきらしたアップルパイはとても美味しそうだ。普通のサイズより、大きめに焼かれているようで、俺とヒロトの分を二切れ切り取っても、まだまだたっぷりある。

「焼きたてを食べてほしかったから、円堂くんを呼んだんだ。…紅茶とコーヒー、どっちがいいかな?」
「コーヒーで」
「はーい」

やかんのお湯を沸かしたり、手際よくコーヒーを淹れるヒロトの姿が何だか新妻のように見えてしまって、顔に熱が集まる。ふぅーっと深呼吸をしていると、ヒロトがコーヒーを持ってきてくれた。

「はい、どうぞ」
「いただきます」

焼きたてのアップルパイを頬張ると、ほどよい甘さが口に広がる。美味しい?と聞いてきたヒロトに、美味しいよ、と言うと、ヒロトは嬉しそうに笑った。

「よかった…それじゃあ、俺も…いただきまーすっ」

俺の目の前で幸せそうに微笑んだヒロトは、まさに、スイーツのお姫様だった。


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アンケより

甘いもの食べたいな…
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