私が何か飲もうとキッチンに入ると、ヒロトがエプロンをして料理をしていた。
「風介か、ちょうどいいところに来てくれたね」 「ちょうどいいところにって、私は飲み物を取りに来ただけだ」 「ちょっと手伝ってくれないかな?」 「面倒だ」 「そんなこと言わずに…」
ね?と言って、ヒロトは白い液体の入ったボウルと泡立て器を私に押し付けた。
「生クリームを作りたいから、それをふわふわになるまで泡立てて」 「…わかった」
今更断るわけにもいかずに、仕方なく承諾する。ヒロトの手伝いはよくさせられるから、この作業がどのくらい大変かも、よくわかっている。手を休めることなく、ヒロトをチラリと見ると、鼻歌なんぞ歌いながら、オーブンを見つめていた。その姿に不覚にもキュンとしてしまった。
「風介…手、止まってるよ」 「あ、」
指摘されて我に帰る。見とれてしまっていた。 その後、邪心が出ないくらい一心不乱に生クリームを混ぜ続けて、やっとふんわりなってきた。
「ヒロト、こんなかんじか?」 「うん、オッケーだよ。ありがとね、風介」 「あ、あぁ…」
ふわりと微笑んだヒロトにドキリとした。ヒロトのこんな表情が見られるのなら、手伝いなんていくらでもしていいと思った。幸せな気分になった私は、飲み物のことなんてすっかり忘れていた。
****** アンケより
アンケでいただかなければ、絶対書いてなかったと思われる すずひろって、なんか和む
甘くならなくて申し訳ない
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