「きょーま、きょーまっ」
「はい?」
肩を叩かれて、首だけ振り返ったら、ヒロトの細い指がぶすりと頬に刺さった。
「引っ掛かったぁー」
「ヒロト…」
にんまりと笑ったヒロトに、いつもよりもトーンを落として言う。それまで、くすくすと笑っていた声が止んだ。
「な、に…?」
「あれほど爪を切った方が良いですよって、俺は言いました」
「あ」
ごめんなさいぃ、とヒロトは小さくなる。頬に手をやると、細い線が入っていた。
「きょーま、血…」
「だから、言ったでしょう。ま、いいです。ヒロトにつけられたと思えば、幸せです」
にやりと笑ってみせたら、ヒロトはずりと一歩後退りをした。
「きょ、ま…」
「責任、とってもらえますか?」
「……いつもじゃん」
俺が笑ったことで安心したのか、ヒロトも笑った。イイコトをする前に、ヒロトの爪を切ってあげよう。俺は爪切りをとろうと立ち上がった。
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ぶっすぅ、ってネタがやりたかった
きょまさんは何かとヒロトの世話をやきたがる人
あんまり甘やかすと、ろくな大人にならないぞー